2007.11

2007年11月

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11月25日(日)
 月島スペインクラブで結婚パーティーの演奏の仕事。ものすごく盛大な会
で業界人がたくさん集まっているのにびっくり。生ハムを小ブタ一頭分まる
まる買って、店の人が会の始まりから終わりまでずーっとスライスしては皿
に盛り付けていたのが印象的。お金というのはあるところにはあるものです
ねえ。新郎はトロンボーンも演奏するので、2曲ほどうちのバンドと共演。
ブラスバンド出身でアドリブは余りやったことがないというのに、びゅーび
ゅー吹いていました。なかなか面白かったです。

 野村尚志さんからいただいた詩誌「豆 四号」を読む。野村さんの詩「動
作」は、すすきの穂の下に野球ボールが転がっている、ということだけをモ
チーフとし、「私の頭のなかにも野球ボールが転がっている」とつなげて、
作者の想像力の領域に行き着く作品。ボールを元の場所(?)に戻すために
実物の野球ボールに「頭のなかのボール」を重ねるというちょっとナンセン
スな「動作」を描くところが面白い。ぼくの好みからすると、作者の人生の
問題に無理に帰着させないで、もっと「動作」を主人公にして、ボールとの
対話を楽しめばいいのに、という感じもした。それでも、捨て置かれた野球
ボールの行く末というのは、実は誰でも少しは気にしているもので、それを
ちゃんと言葉にした人がいるというのはいいなあ、と思った。

 銀座のビルの通路で北爪満喜さんの写真展をやっているというので見に行
った。点数は5点ほどだが、きれいにプリントされていて鑑賞しやすかった。
特に、しずくに濡れた草を撮った写真になごむものを感じた。
 
 今週もあいている時間を利用してジャムセッションに通う。渋谷のKOKO、
池袋の万希、用賀のキンのツボのジャムセッションに参加。音楽の知り合い
を増やすのは楽しい。


11月18日(日) 藤沢のインタープレイという店でサルサのライブを終えて今帰ったところ。 ちょっと年齢層の高い34名のお客さんの前で演奏し、大好評でした。どう もこのところ、都心よりも郊外の店の方がお客さんの反応が熱いようだ。北 松戸のCUBAでやった時も盛り上がったし。拠点となる店が限られている 地域の方がお客さん同士のコミュニケーションが密になる、ということなの だろうか。プエルトリコ人の陽気なおじさんがはしゃいで、ちょっとかわい いくらいでしたね。ニューヨーク・サルサはプエルトリカンの音楽だから、 故郷の音楽を耳にして興奮したということなのでしょう。外国人である日本 人が故郷の音楽を楽しんでいることも嬉しかったに違いない。また演奏した い店です。  ライブの前に葛西区民館で音楽劇「禎子と千羽鶴」を見た。脚本・演出・ 出演は朗読会でもお世話になった女優の登坂倫子さん。区がバックになった 平和コンサートの中の演目なのだが、精度の高さにびっくりした。この劇は 前に一度見たことがあるのだが、今回の公演は遥かに完成度が高い。原爆症 で亡くなった禎子という少女のお話で、原作者はアメリカ人。アメリカの子 供たちには人気のある児童書なのだという。少女は足が速くてリレー大会で 一番になろうと練習に精を出すが、赤ん坊の頃浴びた放射能の影響が出て倒 れてしまう。友達の男の子に励まされて、鶴を折りながら回復を願うが力尽 きて、原爆で亡くなったおばあさんに連れられて天国に行く、というあらす じ。登坂さんはほとんどの役を一人で演じたが、まさに迫真の演技で、人と 人が交差する情景が目に浮かぶようだった。芳賀一之の伴奏の音楽もすばら しかった。途中で不覚ながら涙が出た。周りには他にも泣いている人がいま したね。平和コンサートの演目にありがちな、共感を強いるような感傷性な どは微塵もなく、少女が力いっぱい生きて死んだという事実の重みが残る。 親子で見るにも丁度いいし、これは各地で再演・再々演して欲しいものだと 思いました。  土曜日は上野の文化会館で、ドレスデン国立歌劇場の演奏によるワーグナ ーの「タンホイザー」を聞く。歌手もすばらしかったが、とにかくオーケス トラがすばらしい。特にホルンをはじめとする管楽器のアンサンブルの重厚 さと軽快さに魅了される。重厚と軽快というと、何だそれ、という感じだが、 そうとしか言えないのだ。動きは正確で素早いのだが、全体の響きは深々と していて、まるでうっそうと茂った森を眺めているようなのだ。「タンホイ ザー」というオペラの舞台が中世であり、森が生活の中心に位置していたこ とを見事に伝えてくれる。このオペラが書かれた19世紀には、中世の時代 のような森は生活圏の中にはもう存在していない。つまり、ワーグナーが描 いたのは想像上の森なのだが、それをドレスデン国立歌劇場のオーケストラ がきちんと再現してくれているのだ。伝承芸のものすごさを思い知らされた 晩だった。  オペラに行く前に、神保町の書肆アクセスに寄った。ここは地方小流通セ ンター直営の店で、他の店では置いていないような珍しい本がたくさん置い てあるのだが、遂に閉店してしまうのだ。店長の畠中さんに挨拶し、「幻想 文学」のバックナンバーを買う。ここがなくなってしまうのはすごく淋しい。 神保町の灯が一つ消えたという感じだ。地方小流通センターの本には面白い ものが多い。ネット書店や大型店は、アクセスの志をついで、マイナーな版 元でも良い本はきとんと販売して欲しい。ぼくも頑張ります。
11月4日(日)  小沢さんが辞任。こんなのあるかと思った。少しくらい我慢してくれないと 野党が政権取れないじゃないか。いつかまた新党を結成するのかな。小沢さん の考えはぼくには比較的まともなものに感じられるのだが、談合やった結果が すんなりと受け入れられる時代でなくなってきていると思うので、やり方を考 え直して欲しいですね。  発表会の時に聞いた演奏が余りにすばらしかったので、原朋直先生のライブ を聞きに御茶ノ水のナルへ。ユキ・アリマサ(P)佐藤恭彦(b)森島裕貴( ds)のカルテットでスタンダードを中心に演奏した。やはり柔らかい音のロ ングトーンが印象的で、フレーズに凝るのも大事だが管楽器は音色の独自性を 生かすというのが王道だなと認識。ピアノのユキ・アリマサさんのダイナミッ クな演奏も良かった。ゲストで小学生の男の子のドラマーが一曲演奏に加わっ たけれど、なかなかうまかったし度胸もあるしかわいいしで、喝采を浴びてい ましたね。  原先生の演奏の印象を自分の演奏にも生かそうと、土曜日に池袋の万希でジ ャムセッションに行った。最初は割と冷静に音をコントロールしながら吹けて いたのだが、熱くなってくるとついオーバーブロウしてしまうんですね。いか んなあ。ということで、今年も残すところ2ヶ月だが、今年の目標はオーバー ブロウをなくすこと(!)になりました。