2008年1月

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1月27日(日)
 築地のキューバン・カフェでサルサのライブ。ここは、元は六本木のボデギ
ータという名前の店だった。ラテン好きの人にはよく知られたレストランで、
ライブ演奏もたくさん入れていた。ぼくらもよく出演していたが、一昨年末で
閉店してしまった。昨年、築地に新しい店がオープンし(スタッフはもちろん
前と同じ)、遂に出演が決まったというわけだ。
 キューバン・カフェは築地市場の隣のビルの1Fで、かなり広い。初めての
店ということで少し緊張していたのだが、入ってきたお客さんの顔を見ると、
六本木の時に見たことのある顔ばかりだったので安心した。
 お寿司屋さんで腹ごしらえをして8時頃に演奏スタート。床の材質の関係で
かなり音が響く。やや響きすぎなのが気になったが、まずまずの出来で演奏で
きたかな? とにかく、雰囲気が昔のボデギータと変わっていなくて、気持ち
よく帰ってこられた、という感じだった。仕事帰りなどに寄りたいですね。

 26日は渋谷で詩の合評会。小林彩子さんという方の詩がとても面白かった。
例えてみれば、ユーモラスな顔の人形が飛んだりはねたりするように言葉を扱
っている、という感じか。妄想を書く詩と言えばそれまでだが、その「妄想」
がイメージとして固まる前の、発話の段階で起きている。発話の運動の軌跡が
とてもよく見えるのである。そこが新鮮で刺激を受けた。

 合評会を途中でぬけて、溝口ジャズ同盟のセッションへ。かなりの人数が集
まった。エレキベースの若い人の演奏が、ジャズらしくはなかったが気に入っ
た。終ったあと中華料理店ぴーたんで打ち上げ。週末はホント、遊んでばかり
だなあ。


1月20日(日)  出入りしている溝口ジャズ同盟のメンバーと、町田周辺でジャズをやってい る人たちとで、合同のジャムセッションを行った。場所は登戸のCloud9。 20人程集まり、楽しく演奏できた。町田ジャムの人たちは個性豊かな人が多 いですね。経験の長い上手な人も、ジャズを始めて3年という人もいたが、う まい人とはデッドヒートを繰り広げ、初心者に近い人とは相手を助けるように 演奏する。こういうコミュニケーションが瞬時にできるところがジャズの面白 いところで、だからセッションはやめられない、ということです。  演奏が終ってみんなは打ち上げに行ったけれども、ぼくはこの後サルサバン ドの練習があるのでスタジオで別れました。またいつかこのメンバーと顔を合 わせてみたいです。  山村由紀さんからアンソロジー詩集『豊潤な孤独』(草原詩社)をいただく。 草野心平のような近代詩から、知り合いの荒川純子さんの作品まで24編が収 録されている。「生死」を問題にした(実際に病をテーマにしたものもあるし 切迫した精神状態を指すものもある)詩ということで括られているようだ。読 みやすい良い詩が慎重に選ばれていて、楽しめた。ただ、帯に書いてあった「 現役の看護師さんが心を込めて選んだ24篇の詩」のコピーのような視点はも っとはっきり押し出したほうが、本としては訴えかけるものが大きくなったの ではないかとも思った。どういうバックグラウンドを持った人がどういう視点 で集め、本としてどういう統一感を出したかったのか、ということ。それを強 く打ち出すことで、アンソロジーを編むことが一つの「行為」として読む人に 印象づけられたのに、と少しだけ残念に感じた。  巻末にある全作品への短い感想は、山村さんの感性の在り処を示していてと てもいい。とにかく、たくさんの人に読まれるといいですね。
1月14日(月)  横浜美術館の「ゴス」展に足を運ぶ。ゴシック美術・文学の「ゴス」が現代 アートにどう受け継がれているかを検証するユニークな企画展。  「ゴス」は、ヨーロッパにおいてサブカルチャーとしての長い伝統があり、 日本でもファッションなどで定着しているので、作家の独自性が余程出ていな いと面白くない。  オーストラリアの彫刻家リッキー・スワローは骸骨の脇に、寝袋やラジカセ などの日用品を並べ、時のうつろいやすさ・日常の失われやすさを印象づけて いた。メキシコのDr.ラクラは絵葉書などのイラストを利用して、ゴス趣味 の模様を描きこむ。軽いタッチが快く、遊び心が感じられた。  日本の束芋(TABIMO)は、手と足が混ざり合う映像インスタレーショ ンを出品。見続けていると気色悪さが快感になる。  ケニアのイングリッド・ムワンギ、ドイツのロバート・ヒュッターも映像イ ンスタレーション。角砂糖をしきつめた舞台の上で誕生から老いまでが描かれ る。  日本のぴゅーぴるは、性同一障害に苦しむ自分の姿を、少年少女たちに仮装 させた写真で表現。自作のウェディング・ドレスも展示しており、これは、自 分との結婚が実現したという意味で、障害の克服を表しているそうだ  日本の吉永マサユキはゴス風ファションの男女の写真を多数展示。確かにゴ ス・ファッションの人は街で時々見かけるのだけれど、しげしげと眺めること はないからその内面はわからない。吉永の写真は、異装の下の心のうちを表現 しようとしたものであろう。  全体として、結構楽しめたのであるが、不満も残った。ゴス趣味というもの に対する各作家の取り組みはそれぞれに面白いが、それらは「美術」の枠に閉 じられていて、ゴスを生き方として、風俗として捉える視点が弱かったように 思えた。少しリスクを犯してでも、ゴスファッションに身を包んだ人と話がで きるような、或いは、ゴスファッションを体験できるようなスペースを作るこ となどはできなかったのだろうか。いつもは美術館に来ない人にもアピールす る機会を与えられたのに、と思ってします。また、「ゴス」概念の歴史の説明 も少なかった。横浜美術館は、先進的な試みを行っているという点でとても評 価できる美術館だと思う。だから、「美術」以外のものをどんどん取り込んで 欲しいと期待してしまうのだ。  13日に、ロス・ボラーチョスのメンバーでもある西澤純一さんがリーダー をつとめるコンフント・ヒバロの演奏を聞く(原宿クロコダイル)。練習不足 の面もあったが、選曲が良くて楽しめた。その前日は溝口ジャズ同盟のセッシ ョンに参加。今年も音楽漬けの毎日を送れそうです。  
1月5日(土)  明けましておめでとうございます。  今年もよろしくお願いします。  正月は例年通り実家に帰ってごろごろしていた。猫のカモが21歳の高齢で 大往生。母の布団に潜り込んで、あくびをするように息を吐くと、そのまま動 かなくなってしまったらしい。好き勝手にのんびりできて、飼い猫としては幸 せな一生だったとは思う。が、長年面倒をみてやっていた母はちょっとしたペ ット・ロス状態で、カモの代わりにぬいぐるみを抱いて寝ていると言っていた。 ペットは、死というものが生きている者の問題であることを教えてくれる。  テレビが面白くないので散歩に出る。昔、神奈中の野球場やテニスコートが あった場所はすっかり更地にされていた。住宅地になる予定というが、まだ家 は建っていない。小学生の頃は、広い運動場が豊かさの象徴のように感じられ ていた。時がたてば寂れていくものもある。それは仕方がないことだ。近所の 神社を幾つか回って初詣。この辺りにはもう古い神社が少なくなってしまった。  2日に妹夫婦と食事。甥っ子が学校を遅刻することが多いというので叱る。 アメリカに住んでいる姉から電話がきて暮らしぶりなどを尋ねる。  12月の27日にはサルサバンドの忘年会を、下高井戸の「JAZZ競輪」 といううどん屋さん(名前の通り、ジャズが流れ競輪のビデオが流れる店)で 行う。お酒もうどんもおいしかった。30日には横浜のKING’S BAR でジャムセッションに参加。2007年は音楽に没頭した一年だったとつくづ く思う。2008年は自分のバンドを早く開始したい。