2008年5月

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5月31日(土)
 大学ジャズ研の先輩だったテナーサックス奏者野口宗孝さんのお墓参り。待
ち合わせに遅刻してしまい、大船からタクシーで横浜霊園へ。到着した頃には
お墓の前でビールと日本酒の酒盛りが行われていました。
 しばらく会わなかった先輩・後輩と、雨の降る中、寒い中、酒を酌み交わし
ながらお喋り。今年はいつもよりたくさんの懐かしい顔が集まった。野口さん
も喜んでくれているだろう。
 2時間近くいて、その後大船の駅前の居酒屋で飲む。仕事で中国や台湾に行
っている人が多いのにびっくり。
 
 みんなは二次会にカラオケに行ったが、ぼくは帰宅して、会社の仕事である
怪談のコンテストの準備に入る。丁度0時に開始することができた。
 お、早くも投稿がある。あ、もう一つ来た!


5月24日(土) 中目黒のブックオフでたまりにたまった本の一部を売りに行き、帰りにミヅマ アートギャラリーで鴻池朋子展「隠れマウンテン&ザ・ロッジ」を見る。  ミヅマアートギャラリーはエレベーターのない、背が高くて古いビルの中に 入っている。そして通常、2階と5階で展示を行っているが、今回の展覧会で は階段や屋上までビルをフル活用して作品を陳列するという面白い試みを行っ ている。  2階では、屏風絵を模した形の大作が飾られている。聳え立つ山に人の顔が 描かれた、アートアニメの1シーンのような作品だ。日本画風の筆づかいで描 かれた、風にたなびく森の木々が美しい。  5階と最上階にもたくさんの作品を陳列し、途中の階段にはオブジェが吊り 下げられているという凝りよう。最上階のカーテンの後ろは「秘密のテント」 のようになっていて、張り巡らされた糸の中に人形が絡まっている。ビルの構 造を生かし、展覧会場を山に見立てて展示を行っているというわけなのだ。「 山頂」では記念のスタンプももらえる。  個々の作品の制作も大変だったと思うが、互いをうまく関連させて企画とし て成立させるのには大変な労力がかかったことだろう。  鴻池朋子独特のメルヘン世界を五感で「体験」できた展覧会だった。  壮大な構想力と勇気と地道な努力に拍手!    午後は登戸でジャムセッション。セッションのあとの飲み会も楽しくて、つ いついいすぎてしまい、タクシーで帰るはめに。そしてそのタクシーの女性ド ライバーが道をよく知らなくて、帰り着くまでに結構かかってしまいました。  まあ、それもよし!です。
5月18日(土)  疲れがたまっていて、起きたのは昼過ぎ。  女優の登坂倫子さんと電話でおしゃべり。結構長電話になってしまった。会 社の仕事を少しやるとさんざん寝たのにまた眠くなってきて昼寝。夕方から外 出し、「ときの忘れもの」で細江英公がガウディの建築を撮った写真を鑑賞す る。陰影の深い、緊張感のある作品だった。ぶらぶら歩いてイメージフォーラ ムで「ヤングパースペクティブ2008」のDプログラムを見る。  Dプログラムは伊藤英洋の80分の作品『トキトシテノメタファー』。若い 男と母親、恋人(?)とのエロティックな関係を象徴的な表現で描いたもの。 母親への性的な憧憬を描いたものは数多いが、この作品では憧憬というよりも 生々しい欲望としてはっきりと描かれている。雰囲気としては恐らく「昭和」 が意識されていて、鈴木清順の映画のような感触がある。しかし、レトロとい う感じはしない。レトロというのは、作者が対象を遠くから眺望する、余裕の 態度から生まれるものだ。大林宣彦の作品などがそれに当る。しかし、本作に は、ゆとりをもって対象と距離を取ろうという意識がなく、主人公が美しい夢 のような世界をがむしゃむしゃ貪り食らう形で進行していく。その分、切迫感 が生まれる。登場人物の関係が曖昧にしか描かれていず、全体像が掴み辛かっ たのが残念だが、力のある作品だと思った。  帰って、明日のライブに備え、トランペットの基礎練習をし、楽器の手入れ を行う。
5月11日(日)  画家の松宮純夫さんから招待状をいただいていた「国展」を見に六本木の国 立新美術館。  いつもは余りに出品数が多いため、松宮さんの作品を見たらあとは一部しか 見ないで帰ってしまうのだが、今回は全部見ることにした。  国展は、いわゆる「レベル」は高いけれど、自由で斬新な作品が意外に少な い印象があって、申し訳ないが最近まじめに見ていなかった。今回全作品を割 合丁寧に見て、その印象が完全に拭い去られたわけでもないのだが、幾つか面 白い作品を発見できた。特に野外彫刻部門が良く、穴を叩くと気持ちのいい音 がする仕掛けがされた作品(子供たちに人気のようだった)、変形螺旋状に棒 が長く伸びているような作品(うまい説明ができなくてすみません)が印象に 残った。  こういう大規模な公募展には偏見をもって接していたのだが、もしかしたら、 数が多いということはそれだけで結構すばらしいことではないかとも思った。 傑作なんてなくてもいいじゃないか、これだけの数の人が表現に向っていると いうことの方が重要だ、ということ。  昨日は溝口ジャズ同盟のセッション。高校生が二人も来ていたのに驚かされ る。ぼくが高校生の頃は、大人に混じってジャズのセッションに行こうなどと は思いつきもしなかった。インターネット恐るべし、ですね。  金曜の夜は、ダヴィンチ文学賞及び「幽」怪談文学賞の授賞式に出席。怪談 関連はこのところ力を入れているので作家の方たちとは是非仲良くしておきた いところ。二次会ではメディアファクトリーの新人営業の方と本の売り方につ いて熱く語り合いました。  ということで、忙しい週末でした。来週はサルサのライブです。原宿のクロ コダイルで演奏しますのでお暇な方は足をお運び下さい。
5月6日(火)  連休最終日。ジャムセッション仲間と8月に行う予定の合宿の打ち合わせの ため、武蔵溝ノ口の焼き鳥屋へ。  ここはメンバーの千葉さんが時々バイトしているところで、今日は仕事をし ながら、他のメンバーのいる2階に時々上がってきては話に加わるという形を 取った。  結構いろいろなことがすんなり決まり、まずはひと安心。合宿先ではバンド 合戦のようなものをやることになった。  実務的な話が終ったあと、音楽に関する話を延々とやる。焼き鳥もおいしか ったし、楽しい一日だった。
5月5日(月)  イメージフォーラムフェスティバルHプログラムを見る。  大仁田弘志「LINE」は、四分割された画面でくるくる回転する風景。奇 妙な疾走感に「やられた」という気分になる。  孫于景「回帰」は、ペットボトルの底などを利用し円形から風景を覗くとい う作品。特殊なフレームを設定すると、見慣れたものでも異世界のもののよう に見える。  佐藤健人「もここ」は妻の出産を描いたもの。苦しいお産を経て、かわいい 赤ちゃんが生まれるまでをストレートに撮影する。ものの見方にもっと工夫が あれば、とも感じたが、何はともあれ出産というのはインパクトがあるものだ。  中島雄介「unconscious」は水の泡を注視した映画で、あのぷくぷくした形 が執拗に見つめられると何だか怖いものに変質してくるものだということを教 えられる。ただ、短いせいもあるがちょっとあっけない印象もあった。もう少 し展開があっても良かった気がする。  今回の受賞作は、実験映像系のものが多かった。皆、工夫しているし、それ ぞれに面白かったのだが、それが人の心に与える影響ということに関してはも う一歩踏み込んで考えて欲しかった気がする。「映像的な面白さ」というもの が見ている人の心にどう作用するのかについてを、もっと粘り強く考えてもい いのではないかな。
5月4日(日)  「冒険王・横尾忠則」展を見に世田谷美術館へ足を運んだ。  用賀駅前でピアニストの千葉さんと待ち合わせ、タパスタパスで食事をして から砧公園へ。しばらくこの辺りには来ていないのだが、砧公園は相変わらず 家族連れで大賑わいで、微笑ましい気分になる。  展覧会は、横尾忠則の60年代から最近までの精力的な仕事ぶりを一挙に紹 介するもの。アンリ・ルソーにインスピレーションを得た連作は初めて見るも のだが、ユーモアのセンスと色の美しさに驚かされた。  横尾忠則の作品は、記憶の底にあるものを洗いざらいぶちまけるという感じ のダイナミックなものだが、改めて本物の絵を見てみると、至る所に細かな工 夫があり、絵の職人としての腕の確かさを印象づけられた。ポスターから油彩 の大作まで、すごい数の作品を見たが、大胆なアイディアと細心を究めた仕上 がりは一貫している。好きなものを迷いなく描くという姿勢におおいに学びた い。  見終わったあと、セッション仲間の大江さんの家に。新婚ほやほやの大江さ んと奥さんと音楽仲間でタコ焼パーティを楽しんだ。音楽をやっている同士と いうのは、話も弾むし、楽しいですね。  
5月3日(土)  イメージフォーラムIプログラムを見る。3つの作品が上映された。  青山佳世「合縁奇縁他生之縁 ここは山根四号組」は福島の農家の女性の生 き方を追ったドキュメンタリー。葉タバコの作り方など農作業の細かい部分や 暖かな人間関係を丁寧に描いていて好感を持った。もう少し、主人公の女性や 農家・農業に対し、都会育ちの作者が独自な見方をより鮮明に打ち出しても良 かったかなとも思った。  高田苑実「Mermaid」は、水の中から現れた手が地上のものにべたべた触り、 やがて陸にあがって地上を足で歩くまでをアニメーションと実写を混ぜて映像 化したもの。生きている実感の希薄さを、触るという行為に着目して表現しよ うとした意図はわかる。が、やや単純な象徴性に頼りすぎているようにも感じ た。  徳本直之・鎌田綾「しあわせ」は、夫が失踪した弱視の女性と義理の弟の生 活をドラマ仕立てで描いたもの。エロティックな関係になっていき、何だか危 ない雰囲気になる。  帰ってちょっと仕事をし、メルマガの原稿を書く。
5月2日(金)  詩誌「モーアシビ」13号の発送作業のため七月堂へ。鈴木志郎康さんのと ても読み応えのある新作が載っているので、是非読んでみて下さい。泥Cさん の詩「カウントダウンしている」が、今までの彼女の詩から一皮剥けたようで 今後の発展を楽しみに思った。  発送作業の後、民家を改造した飲み屋で軽く打ち上げ。壁に描かれたお化け の絵が面白い。詩にはもう金銭的価値などないから、真剣に読みたいという人 がいれば詩集などタダであげてしまってもよいのではないか、などと話す。  それにしても今年の5月はよく雨が降りますね。