2008年9月

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9月28日(日)
 恒例の甲府サルサ・バスツアー。
 朝7時半に新宿に集まって、ビールや菓子を買いバスに乗り込む。バンド
のメンバーを入れて40人程。酒飲みが多いので今年はトイレつきのバスで
行くことにしたが、これは正解だった。道がすいていて10時半頃に風土記
の丘公園に到着。他のバンドの人と挨拶をし、軽くリハをやる。13時に開
演。弁当を食べ、ビールとモヒートを飲みながら他のバンドの演奏を聞く。
トロンボーンの渡辺さんが焼いてきたパンがすごくうまい。ほろ酔い加減に
なってきたところで出番となり、40分ほど演奏。お客さんのノリが良くて
助かる。例年のことだが、ペルー人の団体さんが楽しそうに聞いてくれてこ
ちらも嬉しくなってしまう。19時すぎに帰りのバスが出発。大量に買い込
んだビールが結構余っていたみたいで心配したが、東京に着く頃にはすっか
り空けていたのにちょっとびっくり。西澤さん持参のうまい日本酒もいただ
く。9時半には帰宅することができた。
 ピクニック気分での野外の演奏は楽しいですね。
 本当は飲まなければもっと良い演奏ができるのですが、まあいいじゃない
ですか。


9月27日(土)  林・恵子さんから招待されて吉祥寺mono galleryの「ミニツク」展に足を 運ぶ。「吉祥寺の動物園に行って、見て、感じてつくる」展を略した名前だ そうで、たくさんの作家がそれぞれに個性豊かな作品を出品していた。何で も中央線の24駅で各駅の名所をテーマに年一回開催するのだという。一回 りするのに24年! 面白い思いつきですね。  林さんの作品は「てんとうむし動物園に行く」で、動物園を模した箱に釘 を打って道をつくり、てんとうむしを象った球を転がすというもの。遊び心 があって、心がなごむ。他にも、公園で拾った木の枝をお箸に見立てる作品 や、動物たちが吉祥寺の町を歩いたらどうなるかを空想する作品があって、 来場者を楽しませていた。こういう地域密着型の企画は、アートに特に関心 がないような人も引き込む力があるようだ。  近くの喫茶店でおいしい紅茶を飲みながら、林さんと創作や生活のことな どを話す。帰りに「100年」という古書店に案内してもらう。珍しい幻想 文学の在庫が豊富で面白かった。何と、ぼくの詩集『息の真似事』もあった。    長居しすぎて「現代詩の会」に遅刻。毛利さんの詩を一つ読む。長くてい ろいろなモチーフがぎっしり詰め込まれているが、とても統一が取れていて 読みやすい詩だった。言葉自体にもっと軽みがあると、話の中へ深く入れる ような気もした。  帰って野良猫たちにご飯をあげ、なついている一匹と遊んでから、会社の 仕事を少しする。
9月21日(日)  新橋のヤマハでトランペットのレッスン。今日はハバードの“UP jumped Spring”が課題曲だったが、フレーズが自己完結しすぎとのご指摘をいただ いた。他のプレーヤーが入り込むスペースを常に考えながら余裕をもってア ドリブするべき、ということ。全くもってもっともな指摘で、ぼくはすぐ自 分のソロを円滑に進めるだけで精一杯になってしまい、周りがよく聞こえな くなってしまう。頭でわかっていてもいざ演奏すると同じ間違いを繰り返し てしまうのでここは本当に意識して気をつけなくてはいけない。  そう言えば、昨日は溝口でジャムセッションがあった。セッション自体は 楽しくできたが、ぼくはやはり少し吹きすぎていたように思う。反省しきり。  レッスンの帰りに銀座サニービルに寄って、北爪満喜さんの写真の展示を 見る。画面の中に柔らかな空気が感じられて心地よかった。特に最初の花の 写真が良かった。写真で十分語っていたので、添えられた言葉はもっと抑え ても良かったかなとも感じた。  その北爪さんから電話があり、毎日新聞朝刊で先日の朗読会のことが触れ られているとのこと。「わーくしょっぷ」において、来場してくれた若い人 たちが詩に熱い関心を持っていて積極的に発言していたことについて書かれ ていて嬉しかった。  
9月15日(月)  いよいよ詩誌「もーあしび」第二回の朗読会。  朝10時に新宿眼科画廊に到着。一番乗りだった。去年もここで朗読会を やったせいか、勝手がわかっているところもあり、準備はとんとん拍子に進 んだ。  午後一時会場。二時開演。40人近いお客様が来てくれた。  トップバッターの泥Cさんは、尺八の即興演奏をバックの朗読。意味より も語気といったものを重視する読み方で武術を見ているような気分になった。  五十嵐さんは、日常の中でのささやかな喜怒哀楽を掬い取る作品を朗読。 作品の説明を丁寧に説明していたのが良かった。  ぼくは動物をテーマにした詩を3つ読んだ。朗読ということで、耳で聞い て理解しやすいということを最優先したのだが、うまくいったかな?  休憩をはさんで北爪満喜さんが写真のスライドショーを見せてくれたあと 叙情的な作品をそれにふさわしい柔らかな口調で読んだ。  トリは白鳥信也さんで、昨年と同様にギターとパーカッションを従えての 朗読。一字一句じっくり読み込んでいくような朗読で、昨年よりずっと聞き やすかった。ユーモアもあって会場の笑いを誘ったりもしていた。  さて、今回は「わーくしょっぷ」と題して、朗読会のあとに詩について出 演者とお客さんが語り合う時間をもうけた。「心に残る詩は何ですか?」「 今日書くとしたらどんな詩を書きますか?」というアンケートをし、その答 えをもとに詩について話しあう。積極的な発言、印象的なやりとりがあって 予定をはるかに越えた2時間ほどの座談となった。成功したと思う。この「 わーくしょっぷ」はぼくが言いだしっぺなのだが、詩について語りたい欲求 が一般の人の中にかなりあることがわかって収穫だった。  出演者がじっくり自分の詩に対する取り組み方を語る時間を取れたらもっ と良かったかなとも感じたが、それは次回の課題としよう。  今回は更に、来場してくださった方に詩の「お土産」を渡そうという企画 もあって、ぼくは林・恵子さんの協力を得て、「てんとうむし三態」と題し た詩のオブジェを出した。「みずてんとう」「あくびてんとう」「テントて んとう」という三つのライトヴァースを書き、林さんが組み立て式の三角錐 の紙のオブジェにしてくれた。林さんのかわいいデザインのおかげで好評だ った。    帰りに軽く打ち上げをやって9時頃帰宅。くたびれてぐったりしてしまい ましたが充実した一日でした。
9月14日(日)  明日の朗読会の練習をしてから、Bunkamuraザ・ミュージアムの「ジョン・ エヴァレット・ミレイ展」を見に行く。  ミレイは19世紀イギリスのラファエル前派の代表的な画家ということだ。 ラファエル前派というと、典雅というか保守的なイメージがあったのだが実 際見てみると大違い。攻撃的なまでのふてぶてしさが感じられて圧倒された。  ミレイの絵は、晩年の幾つかの作品を除き、基本的に全て「物語」の絵に なっている。題材は歴史上のものだったり、文学上のものだったりことが多 いが、それらが殊更にドラマチックなものとしてピカピカに磨き上げられて 提出されている。全体は厳格な構成美に貫かれているが、細部は極めてリア リスティックでドキッとさせられる。有名な「オフィーリア」の絵に関して は、植物学の教授が学生を連れて、絵に描かれた多彩な植物を一つ一つ説明 して講義をしたという逸話が残っているそうだ。絵画を鑑賞するというより は、映画のスチール写真を見ている気分になってくる。が、表現者の挑発的 な視線が画面を隅々まで統率できるという点で、絵は映画に勝っているだろ う。  優美でスタイリッシュな描線は、日本の少女マンガを予言しているようで もある。あっ、内田善美のマンガのキャラクターはミレイの絵を参考にして 描かれたのかなあ。
9月13日(土)  昼頃起きて野良猫をかまったのち、外苑前の「ときの忘れもの」で卯野木 憲二展「ヴィクトリア朝〜モダン前夜の小椅子達」を見る。文字通り、ヴィ クトリア朝の椅子をインデリアデザイナーの卯野木氏が水彩で描いた作品群 だが、何とも言えない味わいがあった。アールヌーヴォー、アールデコのち ょっと前、モダンデザインが芽生える直前の家具デザインの面白さが、派手 さはないものの等身大で捉えられている。ぼくらから見るとおっとりした飽 きのこないデザインということになるが、当時の人たちにはとても斬新に映 ったことだろう。    その後、増田屋で冷やしたぬきそばを食べ、祐天寺に戻ってドトールに入 り、読みさしていた東雅夫『江戸東京怪談文学散歩』(角川選書)を読了。  この本はまさに「文学散歩」の本であり、鏡花や綺堂の怪談小説の舞台周 辺を実際に歩いてみて、文学と土地の関係を浮かび上がらせようというもの。 どんなに時代が進んで景観が変わっても、じっくり観察するとどこかしら痕 跡が残っている。自然や土地が文学にインスピレーションを与えるだけでな く、文学が土地を豊かにすることも多いのだな、と実感させられる。文学作 品は、土地の記憶そのものでもあるのだろう。  読み終わって、常に新しい文学の楽しみ方を教えてくれる東氏に改めて拍 手を贈りたい、という気持ちになった。買ったまま未読である『小川未明集』 『室生犀星集』(ちくま文庫)にも早く手をつけねば。
9月12日(金)  林さんご夫婦と一緒にサムラートというインド料理屋でラテンのライブを 聞く。  林さんのご主人が本日出演の納見義徳さんにパーカッションを習っていた ことがあり、この店でライブがある時は足を運んでいるのだという。ぼくも サルサをやるので、誘われたというわけ。  インド料理屋でライブというと変わっているように思われるが、実は結構 ある。この間も、町田で「カレー・セッション」をやってきたばかりだ。カ レーを作る人たちというのは、エスニックな芸能一般に興味を持っている人 が多いようだ。  編成は、納見氏のコンガに、歌、ピアノ、ベース、ボンゴというもの。歌 はディーバNORIKOさんで、情緒的な演奏が楽しめた。ご主人のお友達 や、林さんの元同僚の女性の方との話も弾み、演奏終了後は納見さんやNO RIKOさんとも挨拶ができた。カレーは、食べ放題のコースにしたが、い ろいろな味のカレーが楽しめて堪能できた。  とにかく、このところ仕事が忙しくてちょっといらいらしていたところだ ったのですが、気分を一新できて満足しました。
9月6日(土)  また雷。  今年の夏はよく雨が降りますね。それも豪雨が多い。ぼくは最近、アパー トの庭に住み着いている野良猫の親子にエサをやっているのだが、雷が鳴る と猫たちは大変ですね。文字通り右往左往。猫たちのためにも、早く天気が 安定して欲しいものです。  15日に行う「もーあしび」の朗読会に来場者に渡す「詩のお土産」の完 成品を受け取るため吉祥寺の喫茶店へ。  製作者の林さんは、とっても楽しい工夫を施してくれたのでどうぞお楽し みに! ちょっとしたしかけ絵本のような造りになった。前に、仕事で怪談 のコンテストをやっているという話をしたら、林さんも怪談作品を書いてく れて、それが皆良かったので、本サイトにアップすることにした。生活の話 や創作の話を1時間余りして溝の口のジャムセッションへ。  最近は音楽の活動が多くなっていることは前に書いた通りだが、先週はゴ ールデン街の特設会場で野外ミニライブを行った。ラテンを聞きなれた客層 ではないが、お祭り好きなゴールデン街の人に支えられた感じで楽しく演奏 できた。が、帰りに皆で打ち上げをした際、ラム酒を飲みすぎて午前1時頃 まで店の人のやっかいになることに。恥ずかしい限りですが、ハバナクラブ はたまに飲むと実にうまいものです。  鈴木志郎康さんの詩集『声の生地』が第16回萩原朔太郎賞を受賞した。こ れを機会に読者が増えるといいなと思った。