2009年9月

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9月24日(木)
 退社後、スクロヴァチェフスキー指揮読売日本交響楽団の演奏を聞きにサ
ントリーホールへ。
 前半はアンドレ・ワッツのピアノでベートーヴェンの4番。ベートーヴェ
ンのピアノ協奏曲の中で一番好きな曲だ。ワッツの独奏は、ルバートを多用
した極めてデリケートなもので、まるでシューベルトのように聞こえた。好
き嫌いはあるかもしれないが、ぼくはこういう自由な演奏は大好きだ。オー
ケストラはついていくのが大変だっただろうが、よくまとまっていて立派だ
った。後半はブルックナーの9番で、スクロヴァチェフスキーらしい考え抜
かれた感じの、重厚な演奏。指示が細かく的確で、うねりと勢いのあるすば
らしいブルックナーだった。遅いテンポの楽章で、アンサンブルがやや乱れ、
濁ったサウンドになってしまったのが惜しい。でも全体には、よく鳴り響く
快演だった。
 終わって、著述家の守屋さん、集英社の田沢さんと中華料理店で食事。

9月21日(月)  恒例の甲府でのサルサ・フェスティバルに出演。朝8時にバスで新宿を出 発し、道路が空いていたため10時半頃風土記の丘公園に着いてしまう。リ ハをやってから、ビール、モヒート、コロッケやハムかつなどの揚げ物、助 六寿司に、渡辺さんが焼いてきた各種のパンで食事。パンがとてもおいしか った。演奏は盛り上がったが、後半アンサンブルが乱れて悔しい思いをした。 野外での演奏は難しい。  他のバンドの演奏も聞いて、6時に出発。帰りは混んでいて、東京に着い たのは10時半すぎになっていた。演奏はともかく(?)、楽しいバス旅行 ができて満足の一日だった。
9月20日(日)  今日も演劇を見る。登坂倫子さんの演劇クラスの発表会。場所は新宿の眼 鏡画廊。  第一部は詩の朗読劇で、茨木のり子や石垣りんの作品が素材にされていた。 心がこもった演技であるとともに、「見せる」ことについて考えを巡らした 感じがあり、好感を持った。小学生くらいの女の子も演技に加わっていたが、 非常にしっかりしていて感心した。若い世代の作家のテキストも読んで欲し い気がした。  第二部は、「ラブ レターズ」というドラマを前半・後半と異なるキャスト で演じた。幼少の頃から手紙を交わし続けた男女の話で、男性は法律を学ん で政治家になり、女性は美術を学んでアーティストになる。が、男性が上院 議員にまでなり家庭も円満なのに対し、女性はアーティストの夢も破れ、離 婚もし、アルコールに溺れるようになってしまう。それでも二人の絆は固く 文通は女性の死まで続く。正反対な性格ながら、文通によってかけがいのな い何かが生まれ、お互い離れることができない。その心理の綾が、青春時代 から壮年時代にかけて、時々の状況に応じて丁寧に演じられており、緊迫感 もあって見ごたえがあった。  終わって登坂さんと「ラブ レターズ」の前半を演じた伊藤純子さんに挨拶 し、サルサバンドの練習に向かう。
9月19日(土)  ピアニストの千葉さんのお知り合いの方の演劇の公演を観に、六本木のア トリエフォンテーヌへ。Company Free Styleという劇団で、作品は「Re:si Dance」というコメディー。ひとくせもふたくせもあるアパートの住民が繰り 広げる騒動を、オムニバス形式で描いたものだった。物語性を追求するので はなく、不条理なギャグを連発して見せ場を作っていく連作コントで、終始 客席から笑い声が絶えなかった。役者たちの演技は非常に達者でテンポも良 く、安心して楽しめる公演だった。キャラクターの人間性がより深みを持っ て造形されていたらもっと楽しめる舞台になったかな、とも思った。  終わってイタめし屋で食事しながら、セッションの運営の話などする。
9月12日(土)  起きると体がだるい。どうやら風邪をひいたようで、熱もあった。寝直し て、どうしようかなあ、と考えたが、予定通り「『幽』怪談ノ宴2009」に足 を運ぶことにする。  会場は大井町のきゅりあんで、かなり大きなスペースだったが、お客さん の入りは良いようだ。  京極夏彦による怪談の朗読でスタート。声の抑揚や間の取り方など、役者 級のうまさだった。司会の東雅夫さんの振りで、安曇潤平が登場。山の怪談 を発表するきっかけなどを語る。それから加門七海、立原透耶、伊藤三巳華 の女性陣による怪談座談会。さらし首があったという昔の刑場跡を通るとそ こで喉の調子がおかしくなるとか、軍人の幽霊らしき者どもに追いかけられ るとか、飲み屋の天井を激しく叩く音がするとか、とんでもない話が、井戸 端会議風の喜々としたお喋りの中で語られていくのが、不思議というか面白 かった。  休憩になって、ロビーに出る。物販がにぎわっているようで何より。ぼく もパンフレットを買ったが、凝った造りだった。天野行雄(日本物怪観光) さん、山下昇平のすばらしい造形の展示もあった。知り合いに会って歓談し、 席に戻る。  作家の黒史郎が現れ、「幽」怪談文学賞受賞作家の方々を紹介。が、カン ペを手に持って喋るものだから京極夏彦・平山夢明の両先輩にどやされる。  後半は、木原浩勝・福澤徹三が加わってそれぞれの怪談を披露。家の裏手 に丑の刻参りの釘がたくさん刺さっている場所があるという福澤さんの話に ぞっとする。  終わって楽屋に行き、主催者の方々に挨拶。3時間余りの会だったが、面 白い話がたくさん聞けて満足だった。  体はまだ熱っぽかったが、そのまま溝口のジャムセションに。トロンボー ンのうまい若い人がいた。二次会も行ったが、だんだん気分が悪くなってき て早目に帰る。帰宅して熱を測ったら結構高熱だった。熱いシャワーを浴び て即寝る。  目が覚めたらすっかり元気になって、熱も取れていました。寒くなってき て体がびっくりしたのかもしれない。  
9月6日(日)  少し時間ができたので実家に、猫のファミの様子を見に帰る。途中デパー トで、竿の長いねこじゃらしを購入。鍵を開けると、ファミはソファーの上 で寝そべっていた。一月くらい会っていなかったのだが、顔を見るとすぐ寄 ってきて甘えてきたので嬉しくなる。よく食べているのか、体が少し大きく なっていた。  新しいねこじゃらしを取り出すと、高く飛び跳ねたり走り回ったりで、す ごい反応だった。猫は、動体視力もすごいですが、音にものすごく敏感です ね。ねこじゃらしが床に擦れる音を、耳をぴんと立てて注意深く聞きとって いる様に驚く。ちょっと昼寝でもしようかと思っていたのだが、ファミが余 りにも遊びたがる、と言うより遊びをやめると鳴いて再開を要請するので、 覚悟を決めて付き合う。  やがて両親が帰ってきて、土産のケーキを渡し、雑談などし、夕ご飯を食 べて東京に戻る。経堂のスタジオでサルサバンドの練習。