2010年1月

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1月30日(土)
 昼に、母親から、実家に連れていった猫のファミとレドが最近仲良くし始
めたとの報告を受ける。レドは2階に引きこもることがなくなり、いつも皆
のいる1階に降りて、ファミとプロレスごっこに興じているらしい。レドは
兄弟猫であるファミのことを覚えていて体を舐めてやったりしているが、フ
ァミは体の大きくなったレドのことを忘れている。それでも前のようにレド
を威嚇することがなくなり、遊び相手として改めて認識しているようだ。
 レドも外に出たがっている様子なので思いきって庭に出してみたら、嬉し
そうにしばらく遊んで、ちゃんと家に戻ってきたとのこと。つまり、ここを
自分の住みかだと認めたということだ。これは進歩。ファミとレドを一緒に
庭に出すと、いつもは遠出するファミも遠くへは行かないで、何となくレド
の側にいるらしい。レドを実家に連れてきてからずっと感じていた胸のつか
えが一気に取れたように感じた。

 夕方から溝口でジャムセッション。ヴォーカルのうまい人がいて、久しぶ
りに歌番をやった。歌を邪魔しないように吹かなければいけないので、勉強
になりますね。ただ、トランペットの第3ヴァルプの調子が悪く、時々戻ら
ないことがある。鳴りのいいシルキーの楽器なのだが、そろそろ買い替えな
くてはいけないかもしれない。


1月24日(日)  お昼にトランペット教室。宿題の作曲を提出し、「April in P aris」を吹く。この曲、聴いているとスムーズなのだが、コードチェン ジが意外に複雑。サビの終わりのコードの変化をうまく処理しきれなかった。  終わってから、品川に行き、ラーメンを食べてから原美術館へ。中国の映 像作家ヤン・フードンの個展「将軍的微笑」を見る。  中心となる「将軍の微笑」は退役した二人の盲目の将軍をテーマとした作 品(ドキュメンタリーでなく役者が演じている)。一人は現在の中国をひた すら礼賛する言葉を語り、一人はピアノを弾く。そして豪華な料理が並んだ パーティの映像も流れる。中国の、資本主義化した面と一党独裁が続いて( 恐らく)言いたいことも言えない不自由な面とを浮き彫りにする。社会批評 性の強い作品だが、結論は自分で言わず、鑑賞者に問う仕掛けになっている。 緊張感が溢れていて刺激になった。  
1月23日(土)  夜、渋谷の七面鳥という小さなライブハウスに、サルサバンドのトロンボ ーン山崎君がやっているサンバのバンドを聴きにいく。サンバを生で聴くの はかなり久しぶりだ。知り合いも何人か来ていた。  5人編成で、山崎君がパンデーロを叩きながらメインボーカルを担当する が、基本的に歌は全員が歌う。サンバらしい熱気と爽やかさがあって楽しめ た。サンバ関係者らしき人たちもいっぱいいて、最後はお客さんもパーカッ ションをたたいたり、踊ったりしてにぎやかな締めとなった。あと、つまみ のフライドポテトがおいしかった。低農薬の農場からジャガイモを仕入れて いるのだそうだ。  山崎君に「面白かった」と感想を言って帰宅。  
1月17日(日)  猫たちの様子を見に実家へ。  ファミとレドは、時折とっくみあいみたいな真似をするが、それでもいつ も一緒にいるので安心する。先住猫であるファミは、完全に心を許したわけ ではないようだが、レドの存在を認めつつあるようだ。鼻を突き合わせて互 いの匂いを嗅ぐこともある。かと思うと、不意に猫パンチを喰らわすことも ある。微妙な距離感だが、以前のように威嚇するようなことはなくなった。 一緒にいる時間が長くなってくると、結構仲良しになるのではないか。とり あえず2匹とも元気そうだし、食欲も旺盛だ。レドがますます甘えん坊にな っているのに驚く。夜は母親の布団に潜り込んで寝ているそうだ。またしば らくしたら様子を見に行こう。  両親と水炊きの夕食を取り、経堂のスタジオへサルサバンドの練習に行く。
1月16日(土)  夕方から詩の合評会「現代詩の会」へ。人数が少ないという話だったが、 結局10人も来て、いつものように熱気溢れる会となった。提出された作品 の中では、北爪満喜さんの「月の瞳」が面白かった。真昼に見た月が気にい って、ミシン目にように切り取り線を入れておき、夜の月の代わりに上らせ るという作品。切り取り線を入れるという遊戯性と切迫した心情の関係が面 白い。水嶋きょう子さんの連作詩も良かった。愛犬の死を中心に日常の風景 を描いたものだが、この世からあの世へ抜けていくような幻想性があった。 ブリングルさんから詩集『次曲がります』、川上亜紀から小説集『グリーン・ カルテ』をいただく。  終わって渋谷駅近くの居酒屋で新年会。おつまみがちょっと凝っていてお いしかったし面白かった。
1月9日(土)  朝、注文していた原朋直のCDが届く。ブライアン・リンチとの双頭クイ ンテットでの『Do That Make You Mad? 』とニューヨークの若手ミュージシ ャンと作った『TONYCALLY』。前者では、歯切れが良くてブリリアントなリン チと、音色の繊細なニュアンスの変化が特徴の原の対比が面白かった。トラ ンペット2本での演奏だが、バトルにはならず、協調しあってじっくり音楽 を作っている様に好感を持つ。『TONYCALLY』はオリジナル曲を多く含む、原 の独創性がより発揮された1枚。語りかけてくるかのような内省的な演奏だ。 決して聞き手を圧倒しようとしないところに、高いセンスが感じられる。デ イヴ・ダグラスを思わせるような柔らかな音だが、ダグラスのような冷たい 肌触りではなく、あくまで暖かく、情緒的。しかし、フレーズはコードに忠 実なようでいて、かなり大胆である。グループとしての一体感もあって、買 い得なアルバムだった。  午後、渋谷のメガネスーパーで視力を測り直し、新しいコンタクトレンズ を作ってもらう。やや乱視が進んでいるとのことだった。  終わってちりめん亭でラーメンを食べ、外苑前の「ときの忘れもの」で「 細江英公写真展 新版・鎌鼬」を見る。土方巽を撮った、スタイリッシュで かっこいい写真だった。  一度帰宅してから溝口のジャムセッションに出かける。20人以上の人が 来ていて、楽しくセッションをする。
1月4日(月)  あけましておめでとうございます。  今年もよろしくお願い致します。  正月休みには実家に帰り、主に猫の相手をした。猫の多頭飼いって、結構 難しいんですね。ファミは、連れてきた当初は怯えていて、家出もしたくら いなのに、今やすっかりなじんでしまって、王女様気分で家中を闊歩してい いる。庭を歩き回るのも大好きで、しょっちゅう外出をせがむが、よその猫 が迷い込んで来ようものならすごい剣幕で追い出す。家も庭も自分の縄張り と認識しているのだろう。だから、新参者のレドを侵入者とみなして、出会 うと威嚇したり猫パンチを喰らわしたりしている。それでも、ひところより はだいぶ穏やかになってきた。まだレドがきてからひと月たたないので、徐 々に距離を縮めていって欲しいものだ。  レドは相変わらずぼくに対しては甘えん坊で、夜は布団の中に潜りこんで くるし、膝に乗ったら降りようとしないし、という有様。母親には少しなつ いてきたが、ぼく以外の人にはまだまだ警戒心があるので、完全に家に慣れ るまではあと数週間かかりそうだ。ファミは外交的でちょっとずうずうしい 性格だが、レドは内気で臆病なところがある。猫と言っても、一匹一匹随分 違うものだと、改めて思った。  川崎大師に初もうでに行ったが、予想はしていたがものすごい人出に圧倒 される。警察が整理に大活躍。でも、初もうでだと思うと、人ごみもそれな りに風情があって楽しいですね。道の両側にあらゆる種類の屋台がいっぱい 並んで俗っけを醸し出しており、さすが川崎という感じがした。  田辺青蛙さんの第二作『魂追い』を読了。不思議な事件が次から次へと起 こるが、全体の流れや雰囲気はゆったり・おっとりしている。物語の幹が太 くなってきたのを感じる。これはアニメ化してもイケるのではないか。朱雀 門出さんの『今昔奇怪録』は、理科系不条理ホラーという感じで、高度な論 理のひねりが面白い作品だった。タイプは全く違うが、どちらも独創的な世 界を切り開いており、早くも次の作品が楽しみだ。