2010年2月

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2月16日(火)
 猫のファミとレドが二匹とも結構ひどい風邪をひいている。苦しそうにぜ
いぜい呼吸するようになったので病院に連れて行くと、父から電話があった。
心配だったので後で様子を聞くと、二匹とも病院では奇跡的な程おとなしく、
神妙な面持ちで治療を受けていたとのこと。抗生物質を注射してもらったが
騒がないでしっかり耐えていたらしい。重症ではないようだ。父は医者から
「二匹ともきれいな目をしてますね」と御世辞を言われ、喜んでいた。

 まあ、それだけですけどね。他人から目がきれいだ、と言われるとぼくも
嬉しいです。つまり猫バカってことですね。


2月12日(金)  『怪談実話系3』の購入者特典のための伊藤三巳華さんインタビュー収録 のために、メディアファクトリーへ。2、30分遅れますという連絡が三巳 華さんから入り、空いた時間を利用して東雅夫さん、タカザワケンジさんと 幻妖ブックブログの販促会議を行う。東北の出版社・荒蝦夷から良質の怪談 本が相次いで出るので「みちのく怪談」フェアをやろうとか、京極夏彦さん の近刊『冥談』を中心に「ほの暗い怪談」フェアをやろうとか、面白いアイ ディアが幾つも出て盛り上がった。そうこうしているうちに伊藤三巳華さん が到着。インタビューが始まった。  三巳華さんはとてもおきれいな、明るく健康的な感じの方だったが、いざ 話が始まると、さあ、大変! 幼い頃から今に至るまで、とにかく幽霊を視 て視て視まくっている! そしてその際の様子をこと細かに、生き生きと、 そしてにこやかに喋るのである。霊体験が、すっかり日常の中に組み込まれ ているんですね。ぼくは何度も頭がクラクラしそうになってしまった(いや、 実際クラクラしてしまった)。こうした超常的な体験を、細部に渡って鮮明 に、面白く語ることのできる話術もすばらしい。これはお金を取って独演会 を開くことも可能でしょう。いやあ、びっくりしました。三巳華さん、本当 にありがとうございました。インタビューの一部は幻妖ブックブログにアッ プし、全文は購入者特典とします。この本、絶対のお買い得ですよ。
2月11日(木)  昼過ぎに起き、youtubeで猫の動画など見ながらボンヤリしてから、ジョン ・ルーリー展をやっているワタリウム美術館へ。  ジョン・ルーリーはユニークなジャズバンド、ラウンジ・リザースを主催 していたサックス奏者だが、難病にかかって音楽活動を停止し、その代わり に絵画の制作をしていたという。一見してバスキアのような、グラフィック アートと抽象絵画の中間のような作風だが、実際、バスキアと親交があり、 一緒に絵を描いていた時期もあったようだ。  必ずしも作品内容と合致しないような、長めのタイトルが面白い。作品を 仕上げるというよりも、自己治療の手段として制作にあたっていたというと ころではないだろうか。むしゃくしゃした気分をそのままイメージ化させた ような作品群は、きっと本人にも解けないだろう謎に満ちていて、飽きがこ ない。ルーリーの音楽は、超シンプルな素材をぐにゃぐにゃ変形させ、思い がけない方向に音形がズレていくところに特徴があるが、彼の絵画にもそう いうところがある。骸骨なら骸骨のイメージが、定型的なものからぐにゃっ とズレていくのだ。インタビュー&ライブ演奏のビデオも流れていた。  小腹がすいたので近くの蕎麦屋でタヌキソバ。渋谷に寄ってヤマハでヴァ ルブオイルを買って帰る。ヤマハ製の良いトランペットが安い値段で売って いて、今度改めて覗きに来ようと思った。
> 2月6日(土)  実家に猫の様子を見に行く。  行き帰りの電車の中でメディアファクトリーから刊行予定の『怪談実話系 3』のゲラを読んだ。前半の、体験談をテーマにした作品は「実話系」とい うより「実話」そのもの。怪異に遭遇して、どうしようというドタバタした その場の空気が、おっとりしたユーモアを交えて語られていてものすごく面 白い。『幽』の怪談三姉妹のコンビネーションは抜群という他なく、この先 ブレイクするのではないだろうか。他の作品も皆良いし、発売が楽しみだ。  実家の猫たちはもうかなり仲良くなっていて、いつも連れ立って行動して いるようだ。ぼくのことももちろん覚えてくれていて、結構たくさん遊んで やった。猫じゃらしを振ると、二匹の猫の反応が違うのが面白い。レドはい きなり大きくジャンプして、猫じゃらしを何とか捕らえようと必死になるが、 ファミは一度物陰に潜むようなポーズを取って、獲物の隙を突こうとする。 レドはパワー全開で飛びつき、ファミは待ち伏せスタイルで狩りをしようと するわけだ。両親と天ぷらの夕食をとり(久しぶりのふきのとうの天ぷらが おいしい)、遊び疲れてうとうとし始めた二匹を撫でて、10時半頃東京へ 帰る。
2月5日(金)  『日本幻想作家事典』の購入者特典のための座談会を社内の会議室にて行 う。編著者の東雅夫さん、石堂藍さんと国書刊行会の磯崎編集長が参加者で タカザワケンジさんが原稿のまとめ/構成。本ができるまでの裏話というこ とを想定していたが、それよりも、幻想文学の位置づけについての話が中心 になった。「幻想」という切り口で真剣に文学のことを考えている人が少な くなった、ということを石堂さんがおっしゃっていて、印象に残った。確か に、荒俣宏氏以降、非リアリズム系文学を大衆化しようとする批評家は余り いなくて、専門でやっているのは東さんや石堂さんくらいになってしまって いるのかもしれない。結構耳の痛い話が交わされたが、『日本幻想作家事典』 のような奇跡のような本を、時間をかけても作ろうとする磯崎編集長のよう な人がいるのだから、絶望するのはまだ早いというものだ。