2010年5月

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5月29日(土)
 詩誌「モーアシビ」朗読会の日。11時すぎくらいに「新宿眼科画廊」に着
くと、もうブリングルさんが来ていて会場のチェックをしていた。ここではも
う何度かやっているので、勝手知ったるという感じでトントン準備が進む。1
2時すぎには大学ゼミ出席のためで遅れる泥Cさんを除く全員がそろった。あ
いにく天気は雨まじりの曇りで、お客さんは20名弱だったが、その分密度の
濃い会になったのではないかと思った。泥Cさんやブリングルさん、呉生さと
こさんの演劇的な朗読、白鳥信也さんのユーモアのある朗読、川上亜紀さん、
五十嵐倫子さんのじっくり聞かせる朗読と、各自の個性が際立っていた。北爪
満喜さんは昨年と同じく、撮りためた美しい写真を壁に映しながら朗読を行っ
ていた。ぼくは、「喋らなくなった床屋」「笑顔」「イナバウアーのその後」
の3編の詩を読んだ。いずれも時間・期間がテーマとなる作品だ。最後にみん
なで、「モーアシビ」バックナンバーから好きな詩を一編ずつ選んで読んだ。
ぼくは浅井拓也さんの「ウサギ狩り」という作品を読んだ。浅井さんの詩は、
無駄な飾りがなく、行為と場所がストレートに迫ってくるところが気に入って
いる。
 休憩時間にはジュースやお酒を出してお客さんと歓談したが、人数が少ない
せいか、深く話し込むことができた。混雑していると、知り合いに、やあ、と
挨拶するだけで終わってしまうが、人が少ないと話し込むことができる。自作
の感想もじっくり聞くことができ、満足。
 終了後、近くの居酒屋で打ち上げ。お客さんも参加して、楽しいひとときだ
った。


5月23日(日)  12時半より原朋直先生のトランペット教室。トランペットだけでベース+ ソロ、ベース+ソロ+バッキングと、アンサンブルの練習。相手の演奏のため に必要なスペースをあける練習は難しいが面白い。  終わって新橋の地下で冷やしカレーなるものを食べ(コクがあってうまい)、 江古田のライブハウス、バディへ。今日はサルサバンドのライブがある。リハ を1時間程やり、対バンのリハもちょっと聞いて、近くの居酒屋/定食屋で食 事。量が多くて食べきれなかった。  9時前に演奏がスタート。新しいメンバーを迎えての初めての演奏なので、 今までと多少勝手が違うところもあり、ミスも出たが、全体的にはタイトなノ リで演奏できたと思う。もっとリラックスしてできるといいなとも思った。  終わって聞きに来てくれた溝口ジャズ同盟の皆さんに挨拶。盛況で、お客さ んに楽しんでもらえたようで、とにかく良かった。  来週の土曜日は詩の朗読会。頑張らなくては。
5月15日(土)  西新宿の万希でジャムセッション。客はぼくとギターの人の二人だけだった ので、さんざん演奏してくたくたになった。「Invitation」をファンクで演奏 したのが面白かった。他に、ジャイアント・ステップスを高速でやったり、な ど。しかし、この客の入りは問題ですなあ。  
5月14日(金)  幻妖ブックブログ定例会。東さん、タカザワさんには今週三回も会ったこと になる。  議題はもうすぐ始まる「ビーケーワン怪談大賞」の運営について。最初に大 風呂敷を広げて、出版流通について考えてきたことを話す。要約すると、1)大 作家の原稿を大手出版社が引き受けて全国の書店にバラまき、大手新聞に広告 を出せば確実に本は売れる、という時代は終わりつつある。2)どういう読者が どういう理由で読むかを明確にさせたプロデュースなしには文芸書は流通しな い。3)鍵となるのは地域コミュニティとネット上のコミュニティ。読者と書き 手の双方向性が必要。文学にも「地方分権」の時代が来た。4)批評家・編集者・ 書店員が良質な「コミュニティ作り」の手助けをすることで、文学は社会機能 性を回復する。5)幻妖ブックブログと怪談大賞は以上のような認識のもとで運 営されるべき。 といったところ。幻妖ブックブログに関わり始めた頃からぼ くがずっと考えてきたことだが、このところ急速に、今までの努力が実を結び つつあるようなので、今年は勝負をかけたいところだ。
5月13日(木)  千葉香織クインテットの2回目のリハ。ベースの木下さんのスタジオを借り る。木下さんは津田山で耳鼻科病院を経営しておられるが、医院の3階が趣味 の部屋のようになっていて、お父さんが描いた絵や練習スタジオがある。立派 なドラムスやエレピが置いてあって、快適な練習ができた。  ただ、曲は皆難しく、特にウディ・ショウの曲はコード進行が複雑でアドリ ブに四苦八苦。それでも、テーマの演奏はどうやら安定してきた。千葉さんの 3拍子のオリジナル曲も美しい。  練習が終わって、木下さん、千葉さんと、近所でうまいと評判の焼鳥屋へ。 確かにおいしい。ぼくは肉の中では鳥が好きだが、シンプルな味付けでもしっ かりした濃い味がする。レバーがとりわけおいしかった。ビールに焼酎を飲み、 いい気分になって帰宅。0時近くなっていた。
5月12日(水)  荒蝦夷の土方さん、それに黒木あるじさんと幻妖ブックブログのメンバーで 会議。荒蝦夷は東北で、「ビーケーワン怪談大賞」のような800字怪談コンテス トを開催するのだという。面白いことになってきた。ビーケーワン怪談大賞の 運営ノウハウをレクチャーし、代わりに荒蝦夷の今後の企画を教えてもらう。 土方さんも黒木さんも、知的でエネルギッシュな、とても素敵な方だった。 良い作品がいっぱい集まったら、是非本にして欲しい。
5月11日(火)  「幽」怪談文学賞の受賞式に出席。短編部門大賞を受賞された神狛しずさん、 谷 一生さんにご挨拶。お世話になっている東北の出版社・荒蝦夷の土方さん、 そのお手伝いもしている怪談作家の黒木あるじさんともご挨拶。他、たくさん の先生方や同業者と語らって楽しい時を過ごす。幻妖ブックブログの企画の協 力のお願いもしっかりやった。  自宅でやらなくてはいけない仕事があったので二次会には参加せず帰宅。途 中、会場でいただいた伊藤三巳華さんの『視えるんです。』を読む。この作品 集は、霊感漫画家である伊藤さんが自身の体験を綴ったコミックエッセイ。『 幽』連載時に読んだ時は、やたらと軽い作品だなあ(失礼)と思っていたのだ が、まとめて読むと随分と印象が違う。超自然的なものとの関わりを軸に、自 身の人生を振り返った、重さと深さのある作品であることを発見。日本人と宗 教ということについても考えさせられた。
5月9日(日)  夕方から代々木のノアスタジオで初顔合わせのセッションをする。ミクシィ 経由で連絡をいただいたギターの方とベースの方とのセッションだ。年齢はぼ くと同じ40代。ジャズではなく、ヒーリングとか環境音楽のようなものをや りたいのだという。スタジオに入ると、曲ではなくコードを渡され、始めも終 わりのないような演奏を延々と行った。まだ方向性をかっちり決定していない 様子だったので、幾つかアドバイスをし、数種類の演奏を試してみた。この先 どうなるのか、また呼んでもらえるのかわからないが、面白い体験をしたと思 っている。  その後経堂のスタジオへ行き、11時までサルサバンドの練習。さすがに疲 れました。
5月8日(土)  3時から詩の合評会。提出された作品は4編だけだったが、3時間めいっぱ い使って論評が行われた。水嶋きょうこさんの「爪を切る」他短詩は、日常か ら非現実的な世界が広がっていく瞬間を捉えた作品。長田典子さんの「みずう み」は、DV男性と関係を持った女性が別れを決意するまでの作品、川上亜紀 さんの「ある晩、くるみの入ったクッキーを焼いて」は、『プーさんのお料理 読本』に従って夜中に苦労してクッキーを焼いたら、次の朝に母親の手配でプ ーさんの友人のウサギたちが本棚を移動しにきて、御礼にクッキーをふるまう という作品。「私」の妄想と「お母さん」の妄想が、仮想の空間のシェア争い をする。仲の良い母娘が、同調したり行き違いがあったりする当たり前の関係 が、斬新な手法によって刺激的な世界に変貌する。ぼくは「見えないものと動 かないもの」という作品を出した。  6時半に溝口でジャムセッション。トランペットの人がぼくを含めて4人も きていた。トランペットをやる人はビッグバンドに所属する人が多く、ソロを 目指す人はそんなに多くないと思っていたのだが、最近変わってきたようだ。 打ち上げにも参加し、11時頃帰宅。
5月5日(水)  11時にイメージフォーラムフェスティバルに駆けつけ、シャロン・ロック ハート「ダブル・タイド」を観る。「アメリカ・メイン州では春先の日中に 2回干潮が起る。これはその二度の引き潮にあわせ、貝の採集をする女性労働 者を撮影した作品」。カメラは採集者を遠方から長回しで撮り、決してクロー ズアップしない。余り変わらない風景と余り変わらない人の動き、それを延々 と観ていると、観客である我々も、その単調な風景の只中に居合わせているよ うな気分になってくる。恐らく、鑑賞ではなく映画を「体験」をさせることが 本作の狙いなのだろうと思った。  終わって実家へ。ファミとレドはもうすっかりノラ猫っぽいところがなくな って家の中を我が物顔で歩き回っている。以前に比べ、動作がおっとりしてき た。途中デパートで買った玩具の猫用ボールで遊ぶ。土産の洋菓子を渡し、父 母と夕食。ウドの浅漬けがとてもおいしかった。それから風呂に入ったのだが、 ファミとレドが珍しがって覗きに来たのが笑えた。10時頃東京に戻る。
5月4日(火)  ジャムセッション仲間のサックスの桜庭さんのお家の庭でバーベキュー。 12、3人程集まっただろうか。音楽の話やバカ話で盛り上がり、料理を堪能し お酒もしこたま飲んだ。特に日本酒のおいしいのがたくさんあって、ルンル ン気分で飲み比べているうちに、前後不覚になりかけてしまった。反省反省。 5月という季節は野外のパーティにうってつけですね。桜庭さんに感謝の一 日でした。
5月3日(月)  今日は日中結構会社に仕事に勤しんだ。少しはやっておかないと出勤した 時に大変なことになりそうだ。トランペットの練習をしてから、夜はまたま たイメージフォーラム。  ハーモニー・コリンの長編「トラッシュ・ハンパーズ」を観る。「80 年代 に誰かが撮影して、そのまま捨て去られていたホームビデオというコンセプト」 ということだが、荒い画質は意図的なものだろう。奇怪な仮装をして、物を 壊したり卑猥なことを喋りまくったりと、アナーキーの限りを尽くす。そん な光景が1時間以上も続くので、途中から、幾ら刺激的な映像でも、刺激に 感じなくなってしまった程だ。これは恐らく秩序に反抗したい衝動を素直に 映像化したもので、ある意味、登場人物たちはごくごくきまじめに破壊行動 を行っていると言える。アメリカやヨーロッパからは時々こういう作品が現 れるが、妥協を許さないキリスト教の精神が反語的な意味で生きているよう に思えた。
5月2日(日)  画家の松宮純夫さんから招待状をいただいていた国展へ。松宮さんのスタ イリッシュな大型の作品2点をじっくり見る。それからなるべくたくさん見 ようと思うが、作品数が多すぎて強行軍の鑑賞となった。高木美希のマンガ っぽい作品「My Favoite Things」と、渡辺夕里子の野菜 を生き物のように描いた「育って仕舞う」という作品が特に印象に残った。 彫刻もユーモアがあって楽しいものが多かった。  夜はまたイメージフォーラムへ。中国の実験映画の数々を見る。水鉄砲で 戦争ごっこをする様が不気味なリー・ミン「裏庭」が特に印象に残った。や はり中国は、政治の圧迫感が強いのだなと感じさせられた。それと、環境の 悪化に目を向けた作品が多かった。個人の体験を軸にしたものはなかった。
5月1日(土)  いよいよGWに突入。とは言っても持ち帰った仕事などもあり、なかなか に忙しい一週間になりそうだ。  メルマガに載せる森村泰昌論を書き、会社の仕事をやって、トランペット の練習をするとすぐ夕方に。  夕食をとってから、新宿のパークタワーホールにイメージフォーラム・フ ェスティバルのIプログラム「肉体の冒険2」を見に行く。かわなかのぶひ ろ「アレから五年 Part1」が面白かった。大病で手術した、入院中の生活を 中心にした日記映画だ。かわなかのぶひろという人は、本当に映像を撮るの が好きなのだなあ、とつくづく感じさせる。おなかに突っ込んだ管、手術後 の傷跡、病院の食事、退院して足を運んだパーティの様子。何から何まで撮 る。撮りたい気持ちがぐんぐん沸いてくるのが実感させられる作品だった。 太田信吾の「卒業」は、進路がなかなか決まらず悶々とする話。平林勇の「 aramaki」は、森の中で一人の男が体に赤い色の液体を塗ったり、クマの掌を 両手に装着するなどして暴れまわる話。五島一浩の「THROW」はボールの投げ っこをしているうちに巧みな映像操作により、ボールの落下点で空間が変化 していくという意表を突いた作品。  10時頃終わって帰宅。