2012年3月

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3月25日(日)
 12時半から新橋ヤマハでトランペットのレッスン。実は最近忙しくなり、
レッスンは今日で最後なのだ。課題は、「Limehouse Blues」
を速いテンポでトランペット2本のみで吹くこと。7thコードがずっと続
くので、途中でフレーズに詰まってしまいがちになる。途端にリズムが甘く
なる。うまく吹けず、これでレッスンを終えるのは心残りだったが、今まで
原先生に教えていただいたことを反芻しながら一人で練習していこう。
 原朋直先生、今までありがとうございました。機会があればまた習いに行
きます。

3月24日(土)  ここ数日、風邪をひいて体調が最悪だった。ようやく気分が良くなり始め、 青山ブックセンターに怪談えほん原画展を見に行く。まだ多少ふらふらした が、作品が展示されているところに立つと、気分が引き締まった。岩崎書店 のこのシリーズは5冊から成っているが、1冊1冊の個性が際立っている。 1冊4、5点くらいの規模の展示だったが、やはり原画は迫力が違う。恐怖 は画家に霊感を与えるようだ。絵本は売れているようだったので安心。この シリーズは第2期も出るそうなので期待したい。  講談社文芸文庫の花田清輝『小説平家』を買う。  帰りに、青空市場になっているところを見物。ショウガ入りの野菜スープ で温まる。
3月18日(日)  昭和期の作庭家、重森三玲の仕事を回顧する「北斗星の庭」展をワタリウ ム美術館で鑑賞する。  作庭家の仕事を美術館がテーマとすることは珍しいが、ワタリウム美術館 は建築家の企画展を打つことがたびたびあるので、例外的なことではないの かもしれない。重森三玲は日本画や茶道、華道など、日本の伝統的な芸術を いろいろ身に付けたのち、庭作りに関心を向けた。当初は自然災害で破壊さ れた庭の保存が目的だったと言われる。私財を投入し、各地を回って数多く の庭の図面を作成したが、それは今日でも使われている程の正確さという。 実際目にし、細部に数学的なこだわりを見せる頑固さが印象に残った。三玲 の場合、四国にある、巨石をたくさん使った古庭が特にすばらしいものに映 ったようだ。そしてそれを自分の庭作りにも生かしていく。  ワタリウム美術館では、三玲の庭の一部を再現する他、幾つものビデオを 放映したり、日本画作品を展示したりしていた。日本画は、現代美術のよう なモダンな感性が際立つものもあった。洋の東西や時代を越えて、自分の感 性にあうものを自由に取捨選択しながら、独自の作風を極めてきたのだろう。  もちろん、こうした仕事は財力がなければできない。昭和期の日本人の豊 かさを印象づけられる展覧会だった。館内に流れる細野晴臣の音楽も良かっ た。
3月17日(土)  先日、中学時代の恩師、佐伯正一先生が亡くなられたのだが、ぼくはとっ ても残念なことにお通夜にも告別式にもうかがえなかった(産休社員のいる 部署の応援をしていて仕事がいっぱいいっぱいの状態)。しかし、その時、 元クラスメイトのりえちゃんの嫁ぎ先の酒屋さんに「ツァー」をして佐伯先 生の話で盛り上がろうという話が出て、実現することになった。今日がその 日で、12時に梅ヶ丘のリカーランドなかますにお邪魔することになった。 集まったのは、武藤さん、林さん、松田さん、鈴木君、武蔵君にぼく。この お店は移転・改装したのだが、以前より格段にパワーアップしている。この 店の一番の売りはワインの豊富な品ぞろえだが、店内に特選ワインの貯蔵室 ができていて、主なワインにご主人による詳しい解説が書き添えられている。 この解説が実にすばらしく、内容が詳しいのはもちろんだが、文章が文学的 で、実に読ませるのである! もちろん、顧客サービスのためであるのだが、 それと同じくらいに、ご主人の個人的なお酒に対する情熱をうかがわせる。 だからこそ、熱心なファンがつくのだろう。普通の酒屋では売れ筋のはずの 缶ビールは少ししか置いていない。志の高さがうかがえる。ぼくは手頃な値 段のおいしそうなワインを2本買った。今は胃の調子が良くないが、回復し てから飲むのが楽しみだ。  その後、下北沢に移動してお昼ご飯、というか昼宴会。鈴木君が役者(エ キストラだが)をやった経緯とか、武蔵君の結婚に至る道のりとか、武藤さ んの大学時代のダンス部の話とか、もちろん中学時代の思い出とか、さんざ ん喋る。更にその後、武蔵君、鈴木君、松田さんとカラオケに行く。中学時 代の友達と会うのは面白いですねえ。中学の友達は、地縁が元で知り合って いるわけで、趣味とか学力とかは関係ない。だから境遇がバラエティに富む。 それが面白い。腹を割って人生について臆面もなく話せるわけだ。次は佐伯 先生のお墓参りで会えるかな。素敵なクラスを作ってくれて、佐伯先生、あ りがとうございました。
3月13日(火)  東雅夫さんの新著『文学の極意は怪談である』の刊行記念の座談会収録の ため、4時に蔵前の筑摩書房へ。今回の本はビジュアル面も充実していると いうことで、東さん、担当編集の喜入さんの他に、挿絵を担当された版画家 の金井田英津子さん、装丁を担当された山田英春さんもお招きしての座談会 である。原稿と写真はいつものように、ベテランのタカザワケンジさんが担 当。名刺交換の後、早速話が始まった。  驚いたのは、金井田さんも山田さんも、非常に文学にお詳しいこと。テキ ストを読みこんだ上で、絵を考え、デザインを考えるのだという。この本は ちくま文庫で出ていた文豪怪談傑作選の背景を詳述するという趣旨のもので、 文学史を「怪談」の視点から読み直すという画期的な評論集なのだが、金井 田さん、山田さんは、東さんの執筆意図を深く読みとった上で、どうしたら 読者の想像力をより刺激できるかということを熟慮し、ビジュアル面の工夫 をされている。この作業もまた、一種の批評行為と言えるのではないだろう か。面白い話満載なので、記事をアップしたらぜひビーケーワンサイトにお 越し下さい。  終了後、近くの居酒屋で打ち上げ。ぼくは最近、胃の調子が悪いので残念 なことに酒は飲めなかったのだが、料理はおいしかった。金井田さん、山田 さん、喜入さん、東さん、タカザワさんと改めてお喋り。出版の今後のこと など、いろいろ喋る。いやあ、楽しかった。こんな楽しい仕事を会社ででき るなんて幸せだ、と幸せ気分で帰途に着く。
3月10日(土)  午前中、預金している銀行の担当者と会う。10時に足を運ぶつもりが、 休日という意識でうっかり寝過ごしてしまい遅刻。すみません。最近、株価 が回復しつつあること、日本株はそれでも先行きは明るくないこと、などを 言われた。以前より関心のあった、アジア地域の債券のファンドを30万円 購入する。  夕方に渋谷で詩の合評会。4編の詩を精読して評した。
3月5日(月)  中学時代の恩師、佐伯正一先生が亡くなったことを知る。茫然自失。先日 自宅をうかがって話ができたことがせめてもの慰め。合掌。
3月4日(日)  渋谷の喫茶店、茶亭羽當で詩人の鈴木志郎康さん、今井義行さんと詩につ いてのお喋り。話題は多岐に渡ったが、反権威主義の立場で詩の世界を概観 するという点で一貫していたと思う。議論が白熱して、3時間も喋り、なお 喋り足りない。久々に高揚した気分。終わって近くのホテルのレストランで 3人で食事をしたが、そこでも結構詩について喋ってしまった。  帰って8時。疲れていたが、気合いを入れ直し、サルサバンドの練習に経 堂のスタジオへ。
3月3日(土)  版画家の山森寛子さん、てんとうむしアーティストの林・恵子さん、ギャ ラリーDAZZLEのオーナーの村松真理子さんと恵比寿のカフェでお会いし、お 喋り。14時半に恵比寿東口の花屋さんの前で待ち合わせ、アトレ内でカフ ェを探した。山森さんは、石川県出身の銅版画家の方で、高い声のかわいら しい方だった。今年の8月にDAZZLEで個展を開くのだという。事前に作品を 見せて下さいとは頼んでいたのだが、写真ではなく、実物を持ってきて下さ った。メルヘンタッチの図柄で、繊細な彫りの作品ばかりだった。まるで外 国の絵本のようで、物語性が豊かだった。バイトを掛け持ちしながらの創作 は大変でしょうけれど頑張って下さい。  帰ってから、先日見たオトニエルの個展の感想の原稿を書く。
3月2日(金)  夕方、怪談えほん『ちょうつがいきいきい』の販促のためのインタビュー 収録のため、江東区森下の山利喜新館へ。作家の加門七海さんと画家の軽部 武宏さんを迎え、東雅夫さん、タカザワケンジさん、岩崎書店の方々ととも に、軽くビールを飲みながらスタート。この絵本、ブランコの鎖や自動車の 車輪など、あらゆるところにお化けが挟まって苦しんで いる、という情景を 描いたブッ飛んだ内容の作品で、絵もダイナミックそのもの。常人にはとて も思いつかない不思議な魅力に溢れている。東さんの巧みな質問で、話は弾 んだ。終了後はそのまま打上げ。料理がおいしかったのでいっぱい食べてし まう。打ち上げでもいろいろ面白い話を聞いたのだが、中でもすごかったの が、軽部さんの「水辺」探訪の話。水辺の生物に興味があり、遠くまで出か けて、時には水にもぐったりしてしまう。沼に潜って雷魚に触ったこともあ ったそうだ。まるで河童! そういう興味の持ち方が、ダイナミックな絵に 表れているのかもしれない。  怪談えほんシリーズはどの本も個性たっぷりで、驚く程クオリティが高い。 そしてよく売れている。東さんが選んだ作家の方が皆すごい人だったことも あるし、画家の方たちが全力投球して下さったこともある。編集も丁寧だっ た。と同時に、広報の加藤さんが頑張ってくれて、プロモーションの工夫を 凝らしたことも勝因だろう。本とは、作家・編集・造本・宣伝・営業が皆う まくいっていないと売れないものだ。今回はその希有な例となった。11時 頃お開き。