2012年5月

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5月29日(火)
 退社後、幽怪談文学賞の受賞式へ。知った顔たくさん。大賞受賞者の「蛾
の恩返し」奇談にウケだ。京極夏彦さんの「幽怪談文学賞を受賞する作品は
読む人のことを考慮した売り物になる小説でなければならない」というコメ
ントが印象的だった。作者が生き生き、伸び伸びしているだけではダメだと。
恐らくその通りだろう。逆に言えば、詩は、作者が読者を振りまわすくらい
生き生きしていなければならない、ということになるかと思う。
 授賞式が終わって、メディアファクトリーの営業部の方や書店員と二次会。
メディアファクトリーの若いイケメン営業部員を、書店員のお姉さま方が楽
しそうにイジッていました。

5月27日(日)  多摩動物園に行く。動物園に行くなんて久しぶりだが、多摩動物園は子供 の頃に行ったきりだ。  最近の動物園は、動物保護の思潮を受けて結構変化を遂げており、狭い檻 に閉じ込めて見世物にするというよりは、なるべく自然な動物の生活環境を 見てもらうというやり方になってている。動物によっては、住処の陰に隠れ てよく見えなかったりするのだが、これはこれでありではないかと思う。  たくさんの動物を見物できて良かったが、とりわけ鳥類が充実していた。 動物園の中の遊歩道をきれいなクジャクがのんびり歩いていたが、あれはい ったい何だったのだろう? 誰と行ったかはまだ内緒です。  帰りに調布で降り、洋食屋さんで食事。サラダの野菜が新鮮でおいしかっ た。その後、サルサバンドの練習へ。
5月26日(土)  今日もセッション。知り合いのギタリスト大江さんの誘いで、湘南台のス タジオJAMJAMへ足を運ぶ。  集まったのは10人弱だったが、楽器のバランスは良く、楽しくセッショ ンできた。ヴォーカル入りの曲が特に盛り上がったかな。  終わって打上げ。ドラムのはるかちゃんが、大阪に行って、ジャムセッシ ョンで婚活しているというのにウケる。しばらくして大江さんの奥さんが4 カ月になる娘さんを抱いて現れる。元気に泣いたり驚いたり眠ったりする赤 ちゃんの様子に癒される。ぼくが前に薦めた、母子のための安眠ガイドの本 は役に立っているそうだ。  7時すぎに帰宅。
5月25日(金)  池袋のSOMETHIN' Jazz Clubでジャムセッション。ここは昔はマイルス・カ フェという名前だった。名前が変わってから初めて来た。店内は昔よりきれ いになっており、2500円でフリードリンク、ホワイトボードに演奏した い曲を記して順番を待つ、という形式になっていた。なかなか良い。  上手な人も初心者もいたが、岩手県から就職活動のために上京して、その 足でセッションに来たという女性のアルト奏者がいた。結構有名な店なんで すね。11歳という少年ドラマーがいて、ちゃんとした演奏をしていたのに びっくり。もちろんお母さんが付き添っている。ドラムの早期教育を受けて いるようだ。何曲か一緒に演奏したが、ルバートしたフレーズにも鋭敏な反 応を見せ、この先が楽しみ。頑張ってね。  11時過ぎまで演奏して帰宅。
5月24日(木)  半休をとり、午後1時に退社。目黒区立美術館で「シャルロット・ペリヤ ンと日本」展を見る。ペリヤンは、ル=コルビュジェの弟子で、戦前・戦後 の日本と関わりの深かった女性建築家・デザイナー。柳宗理とも交流があっ たという。すっきりとしたモダンな線と、暖かみのある、非機能的とも言え る大胆さの共存が魅力的。日本建築や民芸の要素もうまく取り入れている。 20世紀のモダニズムのデザインを進化・成熟させた人という印象を持った。 それを、いかにも楽しげに、自然体で行っている様子が素敵だ。生活と芸術 の幸せな結びつきについて考えさせられた。  祐天寺まで歩いて帰る。よく晴れていて、風が気持ち良い。
5月23日(水)  新しい部署の通達を受ける。経験のない仕事だが、頑張りたい。夜はビー ケーワンのメンバーで飲み会。盛り上がる。しばらくこの顔ぶれで飲むこと は珍しくなるだろう。
5月22日(火)  東銀座の居酒屋八蛮で、ベースの山中さんとミニライブ。スタンダードナ ンバーばかりを20分×3回ほど演奏。この居酒屋さんはビールの醸造もや っており、地ビールを飲ませてもらったが独特な香りがする。そして料理も うまい。音楽好きの常連のお客さんたちと休憩中に喋ったりして楽しい時間 を過ごした。  ベースとのデュオは難しいけれど楽しい。またやりたい。
5月20日(日)  世田谷美術館で「駒井哲郎 1920−1976」展を見る。  資生堂の福原義春が所有する駒井作品を展示したもので、学生時代の作品 から最晩年の作品までを一覧できる、大規模な展覧会だ。  10代で製作した写実的な版画の数々の精密さにまず驚かされる。そして 20代後半になって現われる、あの<夢>の世界の深みに幻惑される。想い をこめて作られたイメージであれば、どんなに抽象的であっても画家の魂を 忠実に綴って見る者に伝えるものなのだ、という確信が感じられる。写実的 な作品も、最晩年まで製作されていたことがわかって興味深い。樹木の版画 など、細密なタッチに魅了される。そして、抽象的な作品同様に、幻想的に 見える。世田谷美術館は改装が終わったところで、久しぶりに足を運んだの だが、確かに内装がきれいになっていてびっくり。  見終わって、砧公園を散歩。ここを歩くのも久しぶりということになるが、 思ったよりも広く、周縁部分はまさに「森」という感じだ。歩いているうち に気持ち良くなり、結構長い間散歩してしまう。  帰りに用賀駅付近のイタリアンの店でパスタを食べ、そのままサルサバン ドの練習へ。
5月19日(土)  昨夜は遅くまでDVDを見ていたので、昼近くになって目を覚ます。雑用 をし、居酒屋のランチの焼きうどんで昼食。中古CD屋に行って、ブレンデ ルによるリスト「巡礼の年第2集 イタリア」とパット・メセニーの「トラ ヴェルズ」を購入。  夜は、新しく結成するジャズバンドの顔合わせセッション。ピアノの笠原 さん、ベースの山中さん、ドラムスの浅田さんと、2時間、ひたすらジャズ のスタンダードナンバーを演奏。  笠原さんとはこの間、聖蹟桜ヶ丘でご一緒させていただいたが、山中さん、 浅田さんは久しぶり。この4人がそろうのはもちろん今回が初めて。  笠原さんは、奔放なベース、ドラムスに最初驚いていたようだったが、徐 々に適応してすばらしい演奏をしてくれた。リズムがとても自由なのがこの バンドの特長。キース・ジャレット・トリオのような自在さを獲得したいと 思う。今年じゅうにライブができるかな?  終わって、バイクで来た浅田さんと別れ、山中さん、笠原さんと飲む。こ のバンドのコンセプトは「アートとしてのジャズをやる」ことだと説明する と、同意をしてくれた。これからが楽しみだ。
5月18日(金)  出社して残務整理。次の部署の仕事が始まるまで少し間がある状態。半休 を取って、3時半に退社。  帰りに、東京都写真美術館に寄る。  川内倫子の個展「照度 あめつち 影を見る」をやっていたが、これは大変 な見ものだった。  阿蘇山の野焼きの光景から、夜空、海、花、金魚、人々の何気ない日常生 活まで、様々な対象をランダムに撮っているように見えて、強烈な統一感が ある。一見、透明感があるように見えて、鈍い淀みがあり、混濁の中に透明 で明るい光がさーっと差し込む、そんな写真たちだ。写真だけでなく、映像 作品もあったが、静止したイメージも動いているイメージも、淡々としてい るようでありながら、作者の暖かな眼差しを感じる。自然物も人工のものも、 ともにかき抱く、言わば慈悲の視線が感じられるのだ。そう、川内倫子の写 真の魅力は、見ることによって衆生を救おうとするかのような、仏教的なコ ンセプトの中にある。存在するものたちのあるがままの姿を慈しむ視線に深 く癒されたのだった。  同時開催されていた収蔵作品展「光の造形 操作された写真」も面白かっ た。こちらは、彩色されたダゲレオタイプの作品群から始まって、リアリズ ムではない、人工的な操作や演出がなされた、作り込まれた作品を展示して いる。19世紀後半の、写真がアートとして認知され始めた原初から、写真 は光のトリックであることを感得させる作品が数多く作られていることを再 認識し、興味深く思った。戦前の日本の前衛写真も、ナホリ=モジらに負け ない程の凝った仕掛けがなされていて、近代の日本美術の水準の高さにも驚 かされる。マン・レイやケルテスらのおなじみの名作も、この企画の中で見 ると、世界的な写真表現の潮流の中で理解でき、勉強になる。  帰って、ビデオ屋で借りていたフェリーニ「青春群像」を見る。コメディ タッチの中に、人物の内面を深く描いたり、超現実的な時空が突如開かれた りするのが新鮮。
5月16日(水)  ビーケーワンサイトが閉鎖され、新サイトがもうすぐオープンする。旧ス タッフである我々は一時的に仕事が余りない状態に。たまりにたまった有休 を消化することにし、自宅でくつろぐ。  夜は井の頭公園の焼鳥屋で飲む。安くておいしい。飲んだ後、外に出ると、 散歩に丁度いい感じの気温だったので、夜の井の頭公園の散策に出る。昼間 と違って静かで気持ちがいい。ところが、方向音痴が災いし、途中駅の方向 がわからなくなってしまい、ぐるぐる回るハメに。それはそれで楽しかった が、皆さん、井の頭公園は意外と広いので気を付けた方が良いですよ。  帰ったら12時半を回っており、すぐ寝る。
5月13日(日)  鈴木志郎康さん、今井義行さんと定例の詩のお喋り会。今日は藤井貞和さ んの詩集や著作権の問題を話題にした。「現代詩」の枠組みを極私の立場か ら批判・検討していく過程が徹底してきて面白い。毎回、今井さんにしっか りした議事録を作ってもらっているので、話の整理もできていて、論理を発 展させやすいのもいい。  3時間熱を入れて喋り、二次会(?)はいつものホテルのレストラン。メ ンチカツ定食を食べながらここでもお喋り。詩について、真剣に語り合うの は本当に気持ちいいことだ。
5月12日(土)  夜、聖蹟桜ヶ丘のジャズバーLoosevoxのジャムセッションに行く。 知人のピアニスト、笠原さんがホストをつとめるので足を運んだわけだ。  小さな店だったが、人がいっぱいでちょっとびっくり。顔なじみのセッシ ョン仲間にも遭遇。たくさん演奏できたわけではなかったが、まずまず楽し めた。酔っ払ったおじさんが入ってきて、演奏を邪魔するのも面白かった!
5月9日(水)  中野のタイレストランで食事。インドネシアに出張に行っていた知人から いろいろ現地での話を聞く。インドネシアは、言語や人種が豊富で、楽しい ところだと言っていた。親日的でもあるらしい。  入った店は、サンロードの脇にある小さな店だったが、生春巻きやタイ風 焼きそばを注文し、どれもおいしかったし値段も手ごろだった。
5月6日(日)  ゴールデンウィークも今日で終わり。友人と江ノ島散策へ。  晴天だったが、風が強くて波が荒い。それでもボートやサーフィンに興じ ている人たちがいて、その心意気にうなる。  しらす丼を食べ、幾つもの神社をお参りし、頂上の花いっぱいの公園でひ と休みするというお決まりのコースだったが、とても楽しかった。ぼくは神 奈川の出身だから、この辺りの風景には懐かしさを感じてほっとする。適度 な安っぽさ(!)がまたいいのだ。  隣の鵠沼海岸駅に足を伸ばし、駅付近のかわいい喫茶店でコーヒーを飲み、 最後に海岸まで行こうとしたら雨が降ってきた。ビニール傘を買って、荒海 を見てから急いで駅に戻る。小田急線に乗り、藤沢の居酒屋で飲む。刺身が おいしかった。江ノ島は東京から近いし、また遊びに来たいものだ。
5月5日(土)  東京都現代美術館の「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」展を見に行く。実は、 あの目がチカチカするようなレインボーカラーの絵はちょっと苦手だったの だが、一度ちゃんと見なければわからないという想いもあった。初期から近 作まで、数多くの作品が展示された大回顧展だったが、1950年代から世 界の最先端をいく仕事をしていたのには驚かされた。抽象表現主義のような 技法や、ポップアートのようなコンセプトを非常に早いうちから取り入れて おり、時代に流れに鋭敏だったことをうかがわせる。見ごたえがあったのは やはり60年代後半から70年代半ばにかけての、レインボーカラーを取り 入れた作品群だ。後の作品では、レインボーカラーの技法はグラフィクデザ イン的というか、かちっとしたオシャレな形式に収まるように使われるので あるが、使い始めの頃は、恐らくライリーらのミニマリズムの影響下にあっ たことを感じさせる。グラフィックデザインのようだが、ぎりぎりのところ でデザインであることを拒否して、絵画を成立させているのだ。つまりそこ には、ものを視ようとする意志が7色に解体されていくという、主体の曖昧 さを追求する問題意識が露わにされている。鑑賞者の参加のコンセプトを含 む、その後の多くの作品もとても面白かったのだが、美術界のスタイルの変 遷を後追いしていくような感じがつきまとい、やや残念な気がした。  常設展も見ごたえがあった。久しぶりにこの美術館に足を運んだが、また 来たいものだ。  帰りに、深川めしの定食を食べ、焼酎を飲んで満足。
5月4日(金)  昨日、今日と実家で過ごす。  ファミとレドとは4か月ぶりだったが、しっかり覚えていてくれて、すぐ 挨拶に来てくれたのが嬉しかった。今年大学に入学した甥っ子におめでとう を言い、お祝いを渡す。  昼間からビールを飲み、まったりくつろいだ2日間だった。夏ミカンを土 産に持たされる。
5月2日(水)  ビーケーワンサイトが、電子書籍も販売するサイトhontoにリニューアルさ れる関係で、ビーケーワン怪談大賞ブログと幻妖ブックブログを締めること になっていたが、本日がその当日。幻妖ブックブログは東雅夫さんの個人ブロ グとして引っ越しさせられたが、怪談大賞ブログはそういうわけにもいかない ので、完全に閉鎖されることになる。今までいろいろ工夫したり苦労したりし て育ててきた企画だったが、どこか継いでくれるところが現われれば喜んで協 力した。東さんの仕事には、今後も引き続き、ボランティアスタッフとして力 を尽くしたい。  我ながらよく頑張ってきたよな、と感傷的な気分になる。