2013年11月

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11月30日(土)
 早朝起床。チェックアウトしてすぐ空港行きのバスに乗り込む。ジャパニー
ズイングリッシュを駆使してアナウンスするおじいさんの運転手が良い味を出
していた。
 空港に到着し、スナックなどを買って搭乗。晴れていて良い眺めだ。9時す
ぎに着いて、空港のトイレで喪服に着替え、タクシーで光明院へ。田園風景が
続く。寺に着くと、もう両親をはじめ何人も到着している。お墓に手を合わせ
てから受付をする。続々と到着。皆、開始時間よりだいぶ早い時刻に集合。光
明院はかなり歴史のある古いお寺で、建物は古いが立派だった。お寺の小さな
娘さんがかわいらしい。住職さんは話上手な方で、お経を読むのもうまい。節
回しが絶妙である。ぼくらにもお経が配られたので一緒に読む。法事が終わっ
て、あけぼの旅館というところで食事。伯父の車で向かう途中、母の実家に寄
る。かなり古くなっていたが現役だった。ぼくも小さい頃泊った記憶がある。
イチョウの大木がそびえる近くの神社にも足を向ける。ここは、ぼくも遊んだ
場所で、大きな洞があるイチョウの木はまるで神様のようだ。伯母や従妹にも
挨拶。従妹は生まれたばかりの赤ちゃんを抱いていて幸せそうだった。
 旅館に着くと、父が挨拶をして食事が始まった。どれもとてもおいしい。特
に刺身がこりこりしていて絶品だった。佐賀に住む親せきにはほとんど会う機
会がないのでお話しできて良かった。佐賀に対する郷土愛の気持ちがどの方か
らも感じられた。最後に父が民謡の歌唱を披露。姉の結婚式の際に歌うつもり
だったが、披露する時間がなくて、今日はじめて歌うとのこと。途中、少し声
がかすれてしまったが、良い歌だった。父も頑張るものだ。
 食事が終わって、予約していたホテルニューオータニまで歩いていく。お堀
の周囲が美しい。チェックインしてしばらくくつろいだ後、佐賀城のお堀周り
を散歩。お堀にはカモがたくさん泳いでいて心が和む。もっと大きなカササギ
のような鳥もいた。紅葉も美しい。佐賀県立美術館&博物館に到着し、中に入
る。美術館の方では「人間国宝 四人展」をやっていた。第34代柿右衛門(有
田焼)井上萬二(白磁)中島宏(青磁)鈴田滋人(木版摺更)の特集で、伝統
の中で冒険する4人の名品が展示されていた。精緻なだけでなく、どの作品も
遊び心が溢れているのが気持ち良い。「国宝」などという重々しい肩書きなど
不要ではないかな、と思ったりした。博物館の方は、佐賀県の歴史民俗を古代
から辿る展示を観る。こういう展示はどこの県の博物館でもやっているとは言
え、県の特長が学べて面白いものだ。さすがに幕末のあたりは変化があって興
味深い。
 ホテルへの帰途、コンビニを探そうとするが、ない。近くの仏具屋でコクタ
ンの数珠を買い(数珠を持っていないまま法事に行ったことが気になったので)
コンビニへの道を教えてもらった。県庁の周辺だというのに、飲食店やコンビ
ニがないのはやはり地方だからだろうか。ようやく見つけて買いものをすまし、
ホテルへ帰る。
 ホテルの中にある日本料理「楠」で夕食。「佐賀御前」を注文。これが4000
円ちょっとの値段の割に充実した内容で、女冠者という貝の時雨煮やムツゴロ
ウの甘煮、海茸の粕漬けの佐賀特産の珍味に始まり、ざる豆腐を添えた舌平目
の煮付けなどどれも上品な味付けでおいしかった。極めつけはやはり有明海の
刺身で、東京のスーパーで買うものとは(当たり前だが)全然違う。身がしま
っていて噛むほどに味が出てくる。地酒も飲みいい気分に。従業員の方も感じ
が良かった。
 明日に備えるために早目に寝る。

11月29日(金)  明日はぼくの祖父夫婦の50回忌(少し早目に行うのだが)。明日の朝の便 で佐賀に発つので、今日は羽田近くの穴守稲荷駅のホテルに泊る。駅を降りる とかわいいお稲荷さんの銅像があってなごんでしまう。ホテルに向かう途中、 妻とばったり。そのまま食事に行くことに。近くの四川料理の店でいろいろ頼 む。なかなかおいしかった。ホテルに入り、明日早いのですぐ寝る。
11月24日(日)  妻のご親戚筋の法事に参加。南北線の本駒込駅で降りる。お寺が多い地域で、 珍しくも山野草の専門店がった。と思ったら、妻の両親にばったり。妻のおか あさんは山野草をやっている方なのだった。一緒に寺に向かう。大きくはない が、きれいな寺院で、建物も美しかった。挨拶をし、法事が始まるまでお茶を 飲んでお喋り。小さな子供2人、それに赤ちゃんも参加。お兄ちゃんたちが赤 ちゃんをかわいがっている様子が微笑ましい。法事が始まる。住職さんはお話 上手な方で、お香の意味など教えてくれる。1時間ほどで法事が終了。お墓参 りをして近くの御蕎麦屋さんでご飯を食べる。おいしい会席料理だった。帰り は妻の実家の方々とぶらぶら散策するように東大前まで歩く。古い東京の顔が 見える素敵なストリートだった。月末にはぼくの実家の筋の法事がある。
11月19日(火)  退社後、アンドリス・ネルソンズ指揮バーミンガム市交響楽団の演奏を聞き に東京オペラシティコンサートホールへ。曲目はベートーヴェンの「プロメテ ウスの創造物」序曲、ブラームス「ピアノ協奏曲第2番」、ブラームス「交響 曲第4番」だった。  ネルソンズの指揮はメリハリの効いた、ショルティや昔の小沢征爾のような 感じ。タメが少なく、いわゆる「微妙な表現」というのは一切やらないので、 音楽に微細なニュアンスを求める人には不満かもしれないが、ぼくはこういう ダイナミックな演奏も好きだ。オケは、「プロメテウスの創造物」ではやや音 の出だしが雑で音の厚みが足りないような感じがしたが、徐々に調子をあげて いった。ブラームスのピアノ協奏曲のソリストはエレーヌ・グリモー。オオカ ミの保護活動でも知られるグリモーだが、長身で美しい容貌。その音楽は、非 常に内省的なもので、自分の出す一音一音を納得いくまで自身で聞き入りなが ら弾くというものだった。そのためバイブレーションが以上に深い。ジャズト ランペッターのトム・ハレルの演奏に似ているところがあるかなと思った。 オケとのタイミングが最初やや合わない部分があったが、2楽章以降に改善さ れすばらしい演奏になった。アンコールのラフマニノフの「音の絵 2」も良 かった。休憩後のブラームスの4番もきびきびした音楽作りで、オケもよく鳴 っていた。守屋さんが来れなくて代わりに守屋さんの奥さんのお母様がいらし ていて、途中まで一緒に帰る。お孫さんの話が面白かった。
11月17日(日)  午後、妻と一緒に小金井公園を散歩。秋も深まってきたが、紅葉全開までも うちょっとという感じかな。でも、近くにあるのになかなかゆっくり歩いたこ とがなかった小金井公園を楽しめた。思ったよりもずっと広くて、トランポリ ンやソリの滑り台のような子供の遊び場あり、ドッグランあり、散策コースあ り、様々な種類の木々あり。途中ビールを買って飲みながら歩く。家族連れと ペット連れが多いのは相変わらず。フリーマケットもやっていた。こういうの んびりした休日も良いものだ。
11月15日(金)  退社後、新国立劇場でバレエ公演を見る。プログラムは全てストラヴィンス キーで、「火の鳥」「アポロ」「結婚」。初演時の振付で踊っている。ベレエ を見るのは何十年ぶりだが、とても楽しめた。「火の鳥」(ミハイル・フォー キン振付)は、この中では比較的古典的で優雅なパフォーマンス。ロマンティ ックで官能的で、ストラヴィンスキーがチャイコフスキーの伝統を継ぐロマン 派の末裔であることを示すようだ。「アポロ」(ジョージ・バランシン)は打 って変わって、伝統的なバレエの枠を越えたモダンな作品。産み落とされたア ポロが三人のアートの女神に導かれて成長していく様を描いている。曲だけ聞 いていると単調な感じがしてしまうのだが、ダンスを観ながら聞くとストラヴ ィンスキーがやろうとしていたことがとてもよくわかる。ダンサーがインテリ アデザイナーのように、空間に変化と躍動感を与えていく。アポロ役のコナー・ ウォルシュのダイナミックでしかも落ち着きのあるダンスが魅力的だった。「 結婚」(ブラニスラヴァ・ニジンスカ)は歌と打楽器とピアノ3台による、ロ シアの農民の結婚式を描いた作品だが、ここでは群舞の面白さを堪能した。ピ アノはほとんど和音を奏でず、打楽器的な奏法に終始する。ダンスは、派手な ソロは全くなく、列を組んでの複雑な動きに目を奪われる。農民たちのざわめ きに揺すられるようだ。クーン・カッセル指揮東京フィルも快演。観終わって、 やはりバレエ音楽はバレエを観ながら聞かなくてはその真価はわからないと実 感。時にはダンサーを盛り立て、時にはでしゃばりすぎないように、緩急を計 算した上で書かれているんですね。まあ考えてみれば当たり前のことなのだが、 ぼくのように家でCDを聞く習慣がついていると、バレエ音楽が「踊り」のた めにあることを忘れがちになってしまう。妻も心から楽しんだようだ。特に「 結婚」が面白かったと言っていた。守屋さん、柿沼さんとも久しぶりのおしゃ べりが楽しめた。終演後、妻と新宿でラーメンを食べる。野菜がいっぱい入っ ていておいしかった。
11月10日(日)  横浜のスタジオで8ビートジャズバンドのリハ。ギターの大江さんが体調不 良でお休み。残りの4人で練習したが、3時間みっちりやれた。トム・スコッ トの曲とザヴィヌルの曲を新しく練習。タイプの違う曲をいろいろやれて勉強 になる。終わってメンバーと近くの安居酒屋で一杯。その後、知り合いのバン ド、ホビッツのライブを聞く。妻とも合流。トランペットの天野梨絵さんが上 達していたのに驚く。ジャズメッセンジャーズ周辺の曲が多かった。全体に、 まずまずまとまった演奏だったと思う。楽しんだ。
11月9日(土)  午後一番で新宿無印良品で住宅の打ち合わせ。かなり細かいことまで詰める ことができた。当初の予定通りのスケジュールで進みそう。終わって、近くの 和食屋さんで刺身の丼を食べる。安くてうまい。
11月4日(月)  家の用事を済ましてから午後、妻と吉祥寺のバウスシアターに行く。ぼくの 好きなチェコのアニメーション特集をやっていて、妻にも観て欲しかったわけ だ。上映された作品は「もぐらくんとひよこのたび」(ズデニェック・ミレル)、 「けしのみ太郎 思いがけないプレゼント」(ボフスラフ・シュラーメク)、 「ぼくらと遊ぼう! セイウチの話」(ブジェチスラフ・ポヤル、ミロスラフ ・シュチェパーネク)、「あおねこくんとじどうしゃ」(ヘルミーナ・ティルロ ヴァー)、「クチャーセクとクティルカ」(イジー・トルンカ)、「「電子頭 脳おばあさん」(イジー・トルンカ)、「ある粉屋の話」(イジー・ブルデチカ)。 前半はいかにも子供向けの楽しいアニメ。「セイウチの話」は、2人組の犬 がセイウチのいなくなってしまったイタズラ息子を探すという話だが、このセ イウチの息子というのがセイウチではなく(!)、ころがるボールのような イメージで描かれているのが面白い。アニメの中だとかえってリアリティが 沸く。最後の2編はグロテスクな作品。トルンカの「電子頭脳おばあさん」は 管理社会批判を秘めているような不条理SF人形劇、「ある粉屋の話」はキリ スト教説話に題材を取った残酷劇。どちらもすごく面白かったが、後ろの席に いた女の子2人が衝撃を受けたらしく、「チェコが嫌いになっちゃいそう」な どと話しているのを耳にする。しかし、作品のレベルはどれも高くて満足した。 妻も面白がってくれたようだ。帰りに、昔ながらの、といった感じの喫茶店に 入ってコーヒーとケーキを楽しむ。「森のコーヒー」とか「大地のコーヒー」 とか、コーヒーに名前がつけてあって楽しい。またおいしかった。
11月3日(日) 甲府のSalsa de Dancin'に参加。今年は会場が甲府駅前の広場に移り(今年 だけのようだが)、行くのが楽だった。12時前に到着したが、もうサウンド チェックの音が響いている。きれいな公園のような感じで、屋台もいっぱい出 ている。関係者に挨拶し、ビールを飲みながら演奏を聞く。屋台のレベルが高 いのが嬉しい。タンドリーチキン、チキンライス、スモーク肉をぱくぱく食べ る。エスニック系の屋台が多かったがこういうのも良いものだ。飲み物では、 地ビール、ドイツビールが最高においしくてついお代わりをしてしまう。この 広場には、木を寄せ集めて作った巨大な造形が展示されており、それも面白か った。演奏をいろいろ聞き、ちょっと疲れて、個性的な店が集まっているスト リートを見学。アクセサリーの店は造りが凝っていて、上の階が美術館のよう になっている。妻も連れてくれば良かったかなと思った。柚子のジャムをお土 産に買う。そうこうしているうちに出番が来る。少し雨が降ったが会場は満員 で、ラテン系のお客さんもたくさん来ていた。PAが良く、互いの音がよく聞こ えたので演奏しやすかった。会場も盛り上がっていたし、言うことなし。 帰りはバンドのメンバーで特急に乗り、ワインやビールを飲む。こういう観光 気分のライブも悪くないものだ。