2013年4月

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4月30日(火)
 6時半起床。朝食後(それにしても、スペインのホテルのバイキング朝食
はパンの種類が豊富だ)、いよいよアルハンブラ宮殿へ。タクシーでホテル
から15分ほどの距離だ。雨が降っており、昨日に引き続き寒い。今日はシ
ャツを重ね着するなど防寒対策をしてきたがそれでも寒い。英語によるツァ
ーを予約しており、集合場所に着いた。各国の観光客が集まっている。さす
が世界的な観光名所だけある。特にフランス人のお客さんが多かった。しか
し、ツァーコンダクターが来ない。寒さのためぶうぶう言い始めた頃、集合
時間から15分遅れてツアコン登場。しかし、謝罪など一切なし(笑)。点
呼を取り始めるが、世界各国から客が来ていて名前の読み方がわからない人
がいるらしく、なかなか進まない。予習をしてこなかったのか。日本の旅行
会社なら有り得ないことだ。結局、集合時間から30分以上遅れて、ようや
くツァーが始まった。オランダ出身の背の高い男性がガイドをつとめる。英
語なので半分もわからないが、もちろん道案内はしてくれるし、大事なとこ
ろは手振りを交えて強調して喋ってくれるのでありがたい。
 幾何学的なデザインの庭、有名なライオンの噴水、どれも優美極まりない。
モスクの形の広間に入ると(ガイドがここがアルハンブラ宮殿のまさに中心
だと叫んでいた!)、あのアラブ独特のうねうねして尽きることのない模様
と文字に囲まれ、不思議としか言いようのない気分に襲われて恍然となる。
こういうものを見ていくと、ヨーロッパの古い文化は思っていたよりずっと
イスラム文化に負うところが多かったのではないかと感じてしまう。それと、
アルハンブラ宮殿は優雅な印象だが、基本的には軍事的な城塞だということ。
防壁が厚く、複雑な形で宮殿を取り巻いているのは敵の侵入を防ぐためのも
のだという。また、キリスト教徒を含む各国の要人との外交の場であり、ホ
テルの役割も果たしていたという。いろいろ勉強になった。それにしても、
ガイドさんは威勢が良いのはいいが、足が悪いおばあさんがツァーの中にい
るのに全然気にしないでスタスタ歩いているのはどうのなのか・・・。
 3時間程の見物で寒かったし疲れたが、併設のショップで頑張って土産を
買う。
 タクシーでホテルに戻り、ちょっと休憩。その後、近くのレストランでパ
スタを食べる。スペインにはピザやパスタの店が実に多い。オリーブオイル
がかかっているが、意外とあっさりした味でおいしかった。
 その後、買い物。まずデパートに行ってグラナダ焼きの皿を購入。それか
ら妻がホテルの人に聞いてきた陶器の店に行って物色。渋いおじさんが一人
で経営している小さな店で品物は良かった。買わずに一旦ホテルに戻り、す
ぐアラブ街であるアルバイシン地区方面を川沿いに歩く。これは楽しい散策
だった。アルハンバラ宮殿を上に臨み、まるで中世の街を歩いているかのよ
うな気分。やたらと広場がいっぱいあるが、どれも美しく見える。
 引き返して、王室礼拝堂を見学。ゴテゴテしたゴシック美術の傑物。殉教
の場面を描いた絵がいっぱいあって、キリスト教は残酷さを強調する宗教だ
なあという感想を持つ。先ほどの陶器の店に戻って、華やかな色合いの皿を
2枚購入。ホテル近くの酒屋でワインを2本購入。それからチェックしてい
た、パエリャが売りの居酒屋(バル)に入る。野菜のグリルとミックスパエ
リャとワインを注文。オリーブオイルのかかった野菜のグリルは単純な料理
だが、うまい。特にズッキーニの味が濃厚だ。パエリャも興奮を掻き立てる
ような野趣溢れる味わい。おいしかったが、どちらも脂っこくて、少し残し
てしまった。店のおじさんも客も陽気。店を出たり入ったりしながら大騒ぎ
して飲み食いしている男性2人と女性1名に目を丸くする。常連さんなのだ
ろうが、この騒ぎっぷりは何? 飲みすぎてテーブルに突っ伏して休憩して
はまた飲む。自由奔放でいいなあ、と思ってしまう。
 寒さと疲れで妻が喉の痛みを訴え始めたので、帰ってすぐ就寝。

4月29日(月)  チェックアウトして9時にアトゥカ駅。まるで植物園みたいな不思議な空 間が設置されていた。近くに本物の植物園があるからか?  新幹線でグラナダへ。窓の外の光景では、一面のオリーブ畑が印象に残っ た。標高が高いのか、雪が残った地域もあった。素朴な教会を見つけたりし て、旅の気分が盛り上がる。13時過ぎに到着。今度のホテルはマドリッド よりも近代的できれいな作りだった。石造りの建物が美しい。小さなレスト ランでスープと魚のフライとコーラの食事。その後、タクシーでカルトゥハ 修道院へ。いかにもカトリックの教会といった風情の大きな石造りの教会。 中庭でオレンジが実っている。外からの眺めもすばらしいが、中の礼拝堂が 圧巻で、バロック装飾が壮麗としか言いようがない。うねうねとどこまでも 続く模様に目が回りそうになる。細部までしっかりした造形で、どのくらい 手をかけたのか、想像もつかない。  売店でタクシーを呼んでもらい、街の中心地であるカテドラル周辺へ。こ こで妻がチェックしていたグラナダ焼きの店に行こうとしたが、残念ながら 閉まっている。妻が寒さと疲労で風邪気味だったので、ゴシック建築の傑作 と呼ばれるカテドラルの中をさっと見学し(すごい迫力だった)、引き上げ ることに。途中、妻が行くのを楽しみにしていたスペインの代表的なブラン ドLOEWEへ。店は小さいが、さすがに並べられている商品はセンス抜群。こう いう大胆で華やかでありながら下品にならないセンスは、日本人にはちょっ と真似できないのではないだろうか。熱心に見た上、遂に赤い色の財布を購 入。妻はいつもはシックな色のものを選ぶのだが、ここでは勝負に出たよう だ。世話してくれた店員さんは若くて長身の、かっこいい女性だった。ホテ ルに帰ってひと休みした後、近くの路地のバル風レストランで食事。スープ、 ツナを乗せたトマトにたっぷりオリーブオイルをかけたもの、子イカの丸揚 げに赤ワインを注文。イカが新鮮でおいしい。ワインもびっくりするほどお いしかった(そして安い)。でもちょっと胃にもたれる感じかな? 歩いて ホテルに帰り、風呂に入って寝る。明日はいよいよアルハンブラ宮殿だ。
4月28日(日)  朝食を取り、11時頃ホテルを出て観光に。プラド美術館を目指すが、道 を間違え、コロン広場の方に出てしまう。しかし、歴史的建築がたくさんあ り、古本市も覗くことができ、良い散策になった。プラド美術館に長い列が できていたので、ソフィア王妃芸術センターを先に訪ねることに。こちらも 長い列でできていたが、観念して並ぶことにする。気温が低く、寒くてガタ ガタ。列の進み具合が遅く、どうしているのかと思う。妻がコーヒーを買っ てきてくれたが、飲み終わってもほとんど進まない。前に並んでいるアメリ カ人の女の子のカップルはぶうぶう文句を言っている。寒くて我慢の限界に 達した時、ようやく番が回ってくる。どうやら列の遅延の理由は、チケット 売りの窓口が少ないためのようだ。しかもちんたらと仕事をしているのでな かなか進まない。まあ、これがスペイン流なので仕方がないですね(笑)。  会場は宮殿を改造して作ったものらしく、恐ろしく天井が高く、広々とし ている。ここは近現代美術のコレクションで有名だが、ゆったり鑑賞できた。 20世紀前半に活躍したキュビズム、シュールリアリズムの主要な画家たち の作品が恐ろしく充実している。ピカソ、ミロ、マッソンなど。ダリは企画 展も催されていて、あの「記憶の不滅」も展示されていた。  戦争とアートとの関連を示すコーナーもあって、雑誌のカバーなども展示 されていた。スペイン内乱の衝撃の強さを思い知らされる。  そして何よりピカソの「ゲルニカ」。単純さと複雑さがこんなにうまく組 み合わさった作品は他にないのではないかと思った。死んだ子供を抱いて泣 き喚く女とか、折れた剣を手にして倒れている男とか、一人一人の人物のそ れぞれの悲劇の物語と空襲を受ける社会の悲劇が、どちらもとてもよく見え る。それらが一つの構図に収まり、神話的な世界を形作っている様は見事と しか言えない。見ていて、涙がこみあげてくるような気分になる。  ソフィア王妃芸術センターを出て、プラド美術館に向かう。途中の植物園 の庭がきれいだ。プラド美術館はもう空いていて、すんなり中に入ることが できた。館内は広大で名画が満載。ここではルネサンス・古典時代の絵を集 中的に見たが、余りに見どころが多いのにびっくり。ボッシュの「悦楽の園」 もヴェラスケスの「侍女たち」も、ゴヤの「我が子を食べるサトュルヌス」 も見たし、ルーベンスの大作や肖像画の傑作群もたくさん見た。数が多いの で、一点一点じっくり見てはいられない。文字通り、足を棒のようにして見 て歩き、一服した時にはふくらはぎがパンパンになっていた。スペインって 本当に強大な国だったんですね。さもなければこんなに美術の傑作を集めら れないですから。  いったんホテルに戻り、身体を休めてから、予約していたフラメンコショ ーへ。ホテルの人に道を聞いて、その通り歩いたがそれらしき店が見つから ない。妻が街の案内所に行って尋ねてみたが、その方向に行ってもやはりな い。ぼくの独断で、二人の意見の中間をいく道を歩いてみたら見つかりまし た(笑)。スペイン人よ、もっとしっかりしてくれ。それはともかく、近く で手頃なレストランを探して夕食。スペイン風オムレツがめちゃくちゃうま い。ムール貝の缶詰をベースにした料理もおいしかったが、貝類がちょっと 苦手なのが祟り、後に胃の調子が悪くなる。ウェイトレスのお姉さんは感じ 良かったし、ワインもおいしかった。  時間がきて、フラメンコの店に入る。見るからに観光客目当ての店という 感じだったが、面白かった。ギターは荒削りだが味がある。ダンサーは女性 二人と男性一人が出演したが、皆うまくて、特に最後の男性ダンサーがすば らしかった。妻もぼくも時差ボケで眠くなってきたので、最後のステージが 終わると同時に歩いて帰宅する。
4月27日(土)  今日から新婚旅行でスペインへ。5時半起床。11時に成田を出発し、ま ずは経由地であるヘルシンキに到着。高い針葉樹林が珍しく映る。北欧はデ ザインの国として有名だが、空港全体もどことなくオシャレだ。宇宙人の彫 刻の前で記念撮影。1時間半ほど後にマドリッド行きの飛行機に乗り換える。 当然ながらスペイン人の客がたくさん乗っているが、飛行機の中でワインを バンバン飲むわ、大きな声でおしゃべりをするわ、宴会のような騒ぎになっ っている。CAのお姉さんもスペイン人のようだが、客が騒いで立ち上がっ てお喋りをしているのに、笑っているだけで注意も何もしないのがすごい。 これがお国柄というものなのか?  マドリッド空港はとても広く、かっこいい。海外に来た、という実感が沸 く。タクシーでホテルへ。21時半着。古い建物を改築増築したであろう不 思議な作りの建物だった。明日のために、とにかく寝ることにする。裏手の 道からは叫び声のような声が始終聞こえて、治安があんまり良くないのかな、 と感じさせられた。夜がいつまでも明るいのはスペインの特徴だ。
4月21日(日)  午前中、保険相談へ。ほぼ確定したプランを告げ、契約に。その後、妻と 大戸屋で食事。久しぶりに大戸屋に来たが、メニューが進化していて楽しめ た。  その後、恵比寿のイベントスペース、リビングルームへ。今日はサルサの ダンスパーティがあり、13時からリハがある。会場に着くと、もうダンサ ーらしき人がいっぱい来ていて、気合が入っている模様。リハ後、配られた お弁当などを食べ、喫茶店で待機。メルマガの文章を書くためベーコン展の 感想をメモする。  出番が近づいて会場へ。お客さんがいっぱい。著名なトロンボーン奏者ジ ミー・ボッシュも来ていた。お客さんは基本、皆ダンスをする人たちなので、 演奏が始まるとノリノリで踊ってくれる。ありがたいことだ。デスカルガで は、ゲスト出演もあり、盛り上がって終了。
4月14日(日)  結婚式の写真を受け取りに神田明神へ。さすがプロの仕事で、きれいに撮 れている。特に妻は女優さんのようにバッチリ決まったポーズで写真に収ま っていて、満足。お礼を言って、お詣りもする。帰りに近くの喫茶店で甘酒 を飲む。妻はおしるこを注文。  その後、国立近代美術館でフランシス・ベーコン展を見る。没後、アジア では初の回顧展というが、展示された作品の数は多く、質も高かった。ベー コンの作品は暴力的といわれるが、対象を物としてでなく、現象として捉え ることで、あおのような造形ができたのではないかと考えさせられた。対象 に対しては、信頼と愛情を注いでいて、その点では決して暴力的ではない。 人を、周りの空間や時間を含めた流動的な何かとして捉える視線が、暴力性 を感じさせるのだろう。ベーコン作品をテーマにした土方巽の舞踏の映像も 流れていたが、時空に痛ぶられる存在としての人間の弱々しさと崇高さを表 現しきっていて鳥肌が立つほど感動した。  常設展もさっと見て、美術館を出て、有機野菜の店サロン Mbで食事。 バーニャカウダとパスタを注文。野菜は生で、生花のようにきれいに鉢に盛 り付けられている。野菜もソースも味が濃厚で楽しめた。  食後、8ビートバンドのリハのため、横浜のスタジオへ。ウェザーリポー トの曲を練習。難しかったが何とか形になりそうでほっとする。6月15日 に用賀のキンのツボでライブを行うことをメンバーに告知。他にも仙台や墨 田区でのライブ出演の話が出て、ちょっと忙しくなりそう。リハの後、サル サバンドのリハに急ぐ。  忙しい、長い一日でした。
4月13日(土)  カルテットのリハ。ビル・エヴァンス、スコット・ラファロ、セロニアス・ モンクらの難曲を練習。さすがに難しすぎてうまくアドリブができないが、 いい訓練になる。ビル・エヴァンスの曲をトランペッターが演奏することは 少ないが、お決まりの展開を排す厳しい姿勢が感じられて練習のしがいがあ る。練習の後、武蔵小金井のイトーヨーカドーの一階にある保険相談の窓口 へ。妻と二人で生命保険、ガン保険など、各種の保険を検討。担当の若い女 性が丁寧に説明してくれてありがたい。決定は後日ということにする。帰り にインド人が経営するインド料理屋で食事。おいしくて値段も手頃、また来 たいです。
4月7日(日)  鈴木志郎康さん、今井義行さんとの詩のおしゃべり会。15時に代々木上 原の鎌倉パスタで待ち合わせ。今回のテーマは「80年代詩」で、政治の熱 狂が去った後、バブル期の詩の在り方を検討しようというもの。ぼくが書い てきたプロットに従って、アイディアを書き加えていく。個人主義的傾向が 強まっていくのに従って、詩人のメディアへの関心が深まっていく様子が詩 からうかがえる。志郎康さんの『極私的現代詩入門』のテキストの一部も読 み合わせる。遊戯的な詩が花咲く直前の、一般読者から孤立していく詩人の 心情がよく描かれたテキストだ。  終わって、用事のある今井さんは先に帰り、志郎康さんと二人で食事しな がら詩の話をする。その後、サルサバンドの練習に。
4月6日(土)  午前中、壊れていたエアコンのリモコンを業者が交換に来てくれる。風呂 の換気扇のフィルター交換の業者もきたが、持ってきたフィルターの種類が 違うということで再度来ることに。午後は明日の詩のおしゃべり会の予習。 黙々と詩を読む。