2021.8

2021年8月

<TOP>に戻る


8月29日(日)
 朝食後、風呂の掃除。最後の数十ページだけを読み残していた粉川哲夫『メ
ディアの臨界』を読了。ヴァーチャルを「仮想」でなく「実質」と定義して論
を進めていく。すこぶる刺激的。夫婦でやっている近くの定食屋でイカフライ
定食。ごはんが大盛で刺身までついている。でもってお土産(?)にお菓子の
小さな袋までもらってしまう。腹ごなしに少し回り道して帰宅。途中、図書館
に寄って本を借りる。トランペットの練習をし、岩成達也『詩的関係の基礎に
ついての覚書』を読む。夕食は鮭ごはん、牛肉のさっぱりサラダ、豆腐と小松
菜のスープ。テレビでパラリンピックをやっているが、選手たちの超絶的な身
体能力に驚く。普段から競技会の様子を放映すればいいのに。
8月28日(土)  朝食替わりにアイスクリームを食べ、掃除。トランペットの練習をして小平 駅前の橙やでミニ天丼うどんセットを食べる。なかなかおいしい。ポエムで深 沢七郎『盆栽老人とその周辺』を読了。都会から盆栽が盛んな農村地域に越し てきた男のドタバタ劇。農村の人たちは素朴ではなく何事も計算づく。盆栽作 りもすぐ金に結びつけようとする。政治と無縁な選挙の様子も面白い。奔放な 地元民に振り回されながら「私」が彼らを決して見下さないのもいい。改行の 多い文体には詩的要素が含まれていてところどころ「おっ」と思ってしまう。 ポエムを出て帰りに文教堂で恩田陸『六番目の小夜子』を買う。蒸し暑い。歩 いているだけでクラクラする。そろそろこの暑さも終わりだろう。運転と買い 物。夕食は牛肉とナスの炒めもの、マカロニとトマトのスープ。
8月22日(日)  寝坊。軽い朝食をとり、深沢七郎『盆栽老人とその周辺』を読む。じいさん たちの欲の深さが率直に描かれていて面白い。昼食に昨夜のカレーの残りを食 べ、久々に作曲。ソフトの使い方をすっかり忘れていて四苦八苦する。夕方散 歩。夕食はゴーヤチャンプル。
8月21日(土)  軽い朝食の後、部屋に引きこもって『無調の誕生』を読む。妻が在宅勤務の 日なので邪魔しないよう気を付けなければならない。お昼にコンビニで買った 冷やしラーメンを食べ、運転と買い物。『無調の誕生』読了。調の放棄ではな く、調の拡張という観点で無調を考察している。現代音楽は「最先端」を目指 す音楽であるということ。宮台真司・北田暁大『限界の思考』を再読。任意の ものが任意のものでないように立ちあらわれてくる構造と形式を、正確に記述 することがロマン主義の「本質」なのです、という指摘に唸る。トランペット の練習をし夕方掃除。夕食はカレー。妻が作るカレーはぼくのよりはるかにお いしい。
8月15日(日)  雨。かなり寒い。朝食兼昼食に蕎麦を食べ、『夢の端々』を取り上げたメル マガコラムの原稿書きに没頭。夕方、脱稿。この夏休みはどこにも行かない代 わり、たくさん散文を書いた。これはこれで満足だ。トランペットの練習をし、 夕方傘をさして散歩。買い物して帰る。夕食に、キャベツと玉子とツナの炒め もの。アメリカはアフガンから手を引き、タリバンが台頭して政権を奪取する 寸前。ベトナム戦争かと思う。
8月14日(土)  肌寒い天気。朝食はフルーツで済ます。運転と買い物。昼食に蕎麦を食べ、 『笑うカモノハシ』の感想に手を入れて脱稿。かなりの分量を書いた。中村登 の詩についてはもう一回書きたい。『無調の誕生』を読み、トランペットの練 習。練習しながらyoutubeで『無調の誕生』に出てきた曲を探して聞く。それ からメルマガのコラムで取り上げる須藤佑実の漫画『夢の端々』を読み返し、 コラムの冒頭部分を書く。バスを乗り間違えて違う会場に行ってしまったジャ マイカの陸上選手にタクシー代を貸した日本の旅行会社の女性の報道が面白い。 選手は金メダルを取り、女性に感謝の言葉を述べお金を返す。まあちょっとい い話かと思っていたら、ジャマイカの観光庁が国の恩人だから女性をジャマイ カ旅行に招待すると言い出した。これは日本政府は絶対やらないな。当人はび っくりしただろう。夕食に、鶏肉と野菜のポン酢炒めを作る。
8月13日(金)  朝食兼昼食にカレーの残りを食べ、トランペットの練習。それから『笑うカ モノハシ』の感想に手を入れる。読み返すたびに新しい発見があるので困って しまう。午後、東京都美術館にイサム・ノグチ展を見に行く。初期のシュール リアリズムの影響を受けた作品から灯りを入れたぼんぼり作品、後期の石の質 感を重視した作品まで、この彫刻家の宇宙を堪能した。初期の作品はブランク ーシの影響が大きく、この路線で行っても成功しそうな感じがした。が、基本 的には一体の彫刻で勝負するというより、作品が配置される空間をデザインす るところまでで世界を作ろうとしているのだろう。空間を活用したぼんぼり作 品はとにかく圧巻だった。イサム・ノグチ作品は、写真で見ると現代アートに 東洋趣味を加味したようなややいかさま的な感じがするのだが、実物は全く異 なり迫力がある。感銘を受けた。上野公園は久々に歩いたが天気も崩れそうだ ったので長居せず帰った。掃除をして、夕食はまたもカレーの残り。大量に作 りすぎた。
8月12日(木)  チキンソテーの朝食兼昼食。柿沼敏江『無調の誕生』を読み、トランペット の練習。午後、サメ映画『ディープブルー』を見る。高知能のサメを作って逆 襲されるB級映画だが、気の良いクリスチャンの黒人のおじさんが出ていて生き 残るかどうかを確かめるために全部観てしまった。無事生き残り、好印象を残 す感じだったが、この頃(90年代後半)くらいからアメリカは人種の問題に敏 感になっていったのかとも考えさせられた。それから『笑うカモノハシ』の感 想書きに没頭し、夕方ほぼ完成。ガストで読書。夕食にカレーを作る。メンタ リストDaigoのホームレス差別発言に驚く。人気稼業なのに何やってんだか。
8月11日(水)  冷ややっこと野菜炒めの昼食兼朝食。柿沼敏江『無調の誕生』を読む。シェ ーンベルク以後の、調性の問題を中心にした現代音楽史。音を物理として捉え る主知主義が音楽の進化を促している、と読める。トランペットの練習をし、 『笑うカモノハシ』の感想を書く。合間に庭の草むしり。夕食は銀鱈の西京焼 き。デザートのメロンがおいしい。
8月10日(火)  軽い朝食後、トランペットの練習をし、昼はチャーハンを作って食べる。『 笑うカモノハシ』の感想を書き、床の拭き掃除。結構丁寧にやってくたくたに なったがきれいになった。ベートーヴェンのピアノソナタを何曲も聞く。夕食 にイサキを焼く。  今村夏子『木になった亜沙』読了。自分の手からものを食べて欲しい女、的 になって投げられるものに当たりたい女、地をずるずる這う女、が出てくる三 篇が収録されている。社会の底辺の人間を主人公としているが社会派的なとこ ろは微塵もなく、人とモノとの間を行き来するような超現実的な設定だが幻想 小説風な感じは微塵もない。  そもそも読者と共有する前提としての社会の概念を持たない。主人公は本来 の自分とは何か、を考えない。目の前にぶら下がった「課題」をクリアするこ とのみに注力し、他の全てに対し投げやりである。一定の形式化の命令を受け た「言葉」が擬人化され、ヒトらしく振る舞っているだけ、と考えるとわかり やすい。  リアリズムから遠い世界のように見えるが、他人と協調するのがとことん苦 手で、結果社会の底辺をさまよう羽目に陥るタイプの人間の現実の姿を鋭く捉 えているようにも見える
8月9日(月)  お昼過ぎに、平井の今井義行さん宅へ。具合いが良くないということで心配 していたが、思ったよりお元気そうでひと安心。寿司弁当を食べ、洗濯を手伝 う。洗濯中、荒川を見に行って、その雄大な様子に心が和む。その後、タリー ズに行って詩の話をたくさんする。夕食は、ニンジンの肉巻き。
8月8日(日)  朝食後、運転と買い物。トランペットで新曲をさらい、『笑うカモノハシ』 の感想を書く。七月堂に行って、『薔薇色のアパリシオン: 冨士原清一詩文集 成』を買い、知念さんと雑談する。それからサルサバンドの練習へ。オリンピ ックは無事終了したが、コロナ感染者が多くてこれからどうするんだと思う。 日本はメダルはたくさん取れたが、それとこれとは別問題だろう。
8月7日(土)  ちょっと遅く起きて朝食後、掃除。昼食にチキンライスを作って食べ、トラ ンペットの練習。中村登詩集『笑うカモノハシ』の感想を書くが、躓いてしま う。富岡多恵子『さまざまなうた』を読む。夕食はトマトと鮭缶のお雑煮。余 りない組み合わせだが、食べてみると違和感がなく、和風ダシが効いていてお いしかった。ベラルーシの陸上選手の亡命事件。オリンピックで最も印象に残 ったこと。
8月1日(日)  猛暑。宅急便を出した帰りに思わずアイスを買ってしまう。村岡由梨詩集『 眠れる花』読了。10代より心に疾患を抱える著者が、自己嫌悪や性嫌悪の衝動 に襲われつつ、恋愛して結婚して子供を産み、仕事もしながら、踏ん張って生 きていく様子が描かれる。幼い頃の複雑な家庭環境も描かれている。「眠」「 花」の2人の娘さんとのやりとりが特に印象に残る。現実のシーンと幻想のシ ーンがともに具体的に生々しく描かれ、迫真力に息を飲む。詩の言葉を通して 「踏ん張っている」姿が見えてくる。痛ましい心情が張り詰めているが、それ をぐいぐいストレートに表現している点で、明るく、「健康美」に溢れた詩集 だと言えるのではないだろうか。お昼におにぎり弁当。少し早くサルサバンド の練習に行こうとするが、バスの中で日が一週間間違っていたことに気づく。 ガストに行って、昨日借りた富岡多恵子『さまざまなうた』を読み、『笑うカ モノハシ』の感想の続きを書く。夕食はサワラの塩麹漬け。