この山は
やまもとあつこ
登り坂ばかり
ゆっくり
歩く
この山はずっと登りばかりだよ
と
聞いてはいたけど
本当に
登り坂ばかり
ゆっくり ゆっくり
歩く
歩く
5時間歩いて
やっと出合えた
平らな道
からだはよろこんで
前へ前へいくんだけれど
足が登りの着地の場所に
地面を求めるので
思いちがいを正しながら
一歩 一歩
足が思うところよりも
足を伸ばして
着地していくことになる
ぎこちないわたしの歩みは
風に吹かれながら
頂上直下のお花畑を
すすんでいく
ときどき
雲のきれはしに包まれて
からだを冷やしながら
山
ゆっくりではなく
動いていく
やまもとあつこ
詩集に『子犬のしっぽをかみたくなった日』(空とぶキリン社)がある。
詩誌「Lyric Jungle」同人
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